護国舞姫の剣

□8#私はMonster
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 私と伊達が睨み合っている間に、誰かがやってきて片倉が席を外した。
 それに気づいていたが、私は自分のためにも伊達のためにもここで説得するしかない。
 伊達のようなものは私のように素性の知れないものを側に置くべきではないのだから。

「Nonsenseだろ。
 あの程度で失敗するようなら、今までだって同じことがあったんじゃねぇのか」

 伊達が言うことはもっともだ。
 そして、何度も同じ場面があった。
 だが、伊達のような反応をするようなものは一人もいなかった。

 それを思い出した私は、伊達から視線をそらし、うつむいてしまう。

「同じことがあったとして、伊達殿にはなんの関係もないでしょう。
 私のような化け物のことなど、捨て置けばいいのです」

 同じ場面で、人は私を「化け物」と言った。
 あれを呼び寄せているのは私だと恐れ戦き、逃げてゆく。
 それは事実なのだから、しかたがないことだ。
 だから、必要なとき以外は人里に入ることは極力避け、山中で過ごしてきたのだ。

「葉桜はSpecialなんだ。
 Monsterじゃない」

 擁護してくれる伊達は優しいのだ。
 優しいから、いつのまにか私は甘えていたのかもしれない。

 姉様と近しい香が私を包みこみ、温もりが優しく私を覆い隠す。

「そんな風にcryするな」

 顎を掴まれ、上に向けられると、歪んだ伊達の顔が私を覗き込んでいる。
 そこで私はやっと自分が泣いていることに気がついた。

「誰がなんといおうと、葉桜はMonsterじゃねぇ。
 そんなことを気にして出て行くというなら、認めねぇぞ」

 反論しようとする私の目元に、伊達がそっと口付ける。
 涙を啄み、慰めようとしている。
 もがいて逃げようとしてもさせてくれない。

「あ……」
「Shhh、Cut the crap.(黙れ)」

 それが唇に触れる寸前、片倉の咳払いが差し止めた。

「政宗様、失礼いたします」
「Shit!邪魔すんじゃねぇ、小十郎」

 伊達は舌打ちしているが、流されてしまいそうだった私は顔を赤くし、安堵した。
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