護国舞姫の剣
□5#二人で並んで正座して
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結局のところ日が昇るまで伊達と語り明かしてしまった私は朝方に睡魔に襲われ、なし崩し的に伊達と共寝をすることになってしまったわけなのだが。
もちろん、手を出されてもいないし、本当に伊達は私が寂しそうだから連れ込んだだけのようだ。
しかし、起きて直ぐに私たちを待っていたのは片倉の説教というわけで。
(帰りそびれちゃったな……)
伊達の寝室で揃って正座で説教を受けていたわけだが、夜中に起きていたせいで私も伊達も眠くて仕方がない。
欠伸をかみ殺していると隣の伊達の身体が傾いできた。
(重い……)
片倉の話によると、どうやら昨日政務が終わった後で私の部屋に来た伊達が、私を寝室に連れ込んだらしい。
ただでさえ私は不審人物なのだから、片倉が怒るのは道理である。
いくら見た目が子供でも伊達は警戒心が足りないと思う。
でも、一番の疑問がなんで私も一緒に怒られなければいけないのだろうかということだ。
寝ていた私にはどう考えても伊達に抵抗するなど不可能なのだから、どうしようもないではないか。
眠い頭でつらつらと考えていると、とうとう伊達の身体が本格的に私に寄りかかってきて。
「うわっ」
「政宗様っ」
避けようと下手に動いてしまった私は、膝の上に伊達の頭を迎えることになってしまった。
焦る私と片倉を尻目に、伊達の気持よさ気な寝息が聞こえてきたときには、いっそ殴ってやろうかと思った。
そのつもりで握った拳を上げて、震わせていると。
「……そういえば、名前を伺っておりませんでしたね」
「あ、葉桜です」
片倉の探るような言葉に、私はさらりと名前を明かしていた。
自分でもおどろくほどすんなりと。
起きていたら、伊達は怒るかもしれないな、なんてなんとなく罪悪感が飛来する。
「俺は片倉小十郎景綱と申します。
失礼ながら」
そういえば、と昨夜の話を思い出し、こほん、と咳払いする。
「片倉殿、私のような小娘にそのような敬語は不要。
それから、余計な探りを入れなくとも、問われれば全て正直にお答えします」
元より隠すほどの素性は持ち合わせていない。
調べても、真偽が出てくるかまでは知りえないが。