お伽話

□プレゼント
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季節は春。
暖かさが身を包み、桜や花も満開に咲き乱れるこの時期。
それは特別な時期でした。
もう直ぐ大切な人の誕生日がやって来る。

「もう新学期とか面倒だよねー、萎えるわ」

「別に良くない? クラスも持ち上がりだし」

新学期、高校二年生となったミクは友人での愚痴を聞き笑って言った。
皆春休みも終わり授業も始まってしまい、クラスも持ち上がりなので出会いもなく退屈で面倒な日々を送っていた。
しかしそんな中、ミクだけは皆と違いニコニコとしており、4月ということに嬉しそうにしていた。

「‥はいはい、ミクは良いよね。毎日幸せそうで。しかももう直ぐ大好きなあの人の誕生日だもんねぇ?」

「な‥!?」

友人はニヤニヤとした表情でミクを見ると、ミクは恥ずかしさから頬を赤らめ俯いた。

「何で知ってるの!? 誰にも言ってないのに‥!」

「ああ、だってあの人の誕生日毎年凄いじゃん? 人気者だよね〜」

毎年生誕祭のようにミクの好きな人でもある人は、名をカイトと言いクールな所や優しい所が人気で女子に囲まれている、モテ男子でもあった。
なので逆に知らない方が可笑しいくらいだ。

「違う、その‥私がカイト君を好きだってこと‥」

「え、そこ!? ‥何言ってんの、ミクいつもカイト君の方ばかり見ては頬赤らめる毎日じゃない。あれで気付かない方が可笑しいわ」

ミクは暇さえあればカイトを見てしまう、まさに恋する乙女だった。
見つめてカイトが笑ってれば自分も笑い、逆に悲しそうにしていれば自分も悲しくなってしまう程だ。

「わ‥私そんなにカイト君のこと見てるかな?」

「見てるね。気付かれてないのが逆に奇跡じゃない?」

カイトは勿論、ミクの気持ちに気付くことはなかった。
だがミクも知っていたんだ。
自分が見られる訳ないんだと。
カイトには好きな人がいるのだから。

「・・・・・」
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