黒バス
□復讐
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『別れましょう』
学校が違う私達は、毎日会うことは難しい。
一週間ぶりに会ったテツは、どこかよそよそしかった。
最初は、聞き間違えたのだと思った。
だって約束した。
来年も再来年も、そのまたずっと先も一緒にいようって。
『ごめん、もう一回言ってくれる?』
『なまえさん、別れましょう』
ゆっくりと、はっきりと発音されたその台詞に背筋が凍る。
一週間前までは何事もなく、いつも通りの私達だったはずなのに。
約束はどうするの?
私の問いかけに答える声はなく、テツは私から去っていった。
一切連絡がとれず、私は理由すら教えてはもらえなかった。
めんどくさい女だと言われようと構わない。
私は納得できないことに同意する気はさらさらなかった。
『テ……ツ』
家の前で待っていた私の目に飛び込んできたのは、テツと一人の女の姿。
私は慌てて彼らの目につかないところに逃げた。
『じゃあね、テツ君!』
軽やかに去っていく彼女の長い黒髪が、一瞬私の視界からテツを奪う。
他に好きな人ができた、そういうことか。
しかしよりによって心変わりとは………なんとも許し難い行為だ。
『テツ、先に約束を破ったのはそちら。私に非はない』
地面に向かって小さく呟いた。