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□始まりの日
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…――〜〜〜――〜…
……何か、聞こえる……?
これは…そうだ、お母様が演奏する二胡の音だ。
優しくて、私の大好きな、お母様の音色…。
「……ん……」
しばらくすると、心地好い旋律が途切れ、ふわふわと宙に浮いているような感覚から意識が引き戻される。
ふと目を開けて、自分が寝ていたのだと理解した。
「ここは……」
辺りを見回すと、清潔であっさりとした小さな寝床だった。
「なんで……」
私は確か……雪を観ていて……それで、……それで?
なんで、雪を観てたんだろう。
「……起きたのか」
「………!?」
突然横から掛けられた声に驚いて、ビクッと肩が揺れた。
身体を強張らせたまま、恐る恐る声のした方向に顔を向けると、
感情の読めない無表情な瞳と、ぶつかった。