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□始まりの日
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ふわり、
ふわり
舞い降りる真っ白な雪の華。
寒いはずなのに、
何故か身体は寒さを感じずに
ただ、ぼんやりと空から舞い降りてくる華を眺めていた。
何故……
そう、何故。
私は、此処にこうして居るのだろうか?
『―――……』
『――ね――…』
何か…
何かを、忘れているような感覚。
一体、何を?
わからないけれど……大切な、何かを。
嗚呼、それにしても。
なんて美しい雪の華だろうか。
そんなことを、またぼんやりと考えた時。
何かが、いや、誰かが近づいてくる音を感じた。
「おい!大丈夫か!?」
覗き込んできた人の顔を認識する前に、
私の意識は、闇に沈んだ。