□海の果実
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『なぁなぁ旦那ー』

『ひっつくな うざい』

『…』

デイダラちゃんは今日もサソリちゃんにベタベタしてる
サソリちゃんは相手にしてねぇけど
でも何かムカつく…

『オイラ、サソリの旦那大好きだぞーうん』

『はいはい』

むかむか…

俺の心がイライラする
デイダラちゃんはわかってるはずだ…
俺とサソリちゃんが付き合っていること位…

俺達が付き合っていることは暁内では有名だ

俺がサソリちゃんに告白して
その光景をトビに見られちまったからなぁ…

あいつの口の軽さも相当なもんで
その日の内にメンバー全員に知られちまったって訳だ

まぁ俺は良かったけどよ
これでサソリちゃんに
言い寄る奴がいなくなるかと思っていたから

でもこの有様だ
デイダラちゃんは毎日サソリちゃんにひっついてくる

俺はそろそろぶちギレていいか?

『デイダラ先輩何やってんすかぁー早く任務行きましょうよー』

『っち!あのくそトビ!!』

『早く行けデイダラ、任務失敗したら笑ってやるから』

『旦那っ!?酷いぞ!うん!』

デイダラちゃんとのやりとりで笑うサソリちゃんの顔に
また心が苦しくなる


俺にだってそんな顔
見せてくんねぇのに…

『…』

『…』

デイダラちゃんがいなくなった部屋は
シーンと静まりかえっていて
何だか寂しい

サソリちゃんはしばらく俺の方を見ていたが
やがて傀儡のメンテナンスって奴をやり始めた

何を話して良いのかわかんねぇ…
デイダラちゃんとなら同じ芸術家ってことで
そっち方面に話が出来ると思うが俺は違う

いつも角都との任務のことしか話すことなくて
そればっかり話してたら
サソリちゃんはすぐに他の奴等の所へ行く

俺はデイダラちゃんが羨ましい
もやもやする…
このもやもやに耐えられなくて
何か話そうと俺の思考をフル回転させて
何か話題はないかと考えていたら
頭よりも先に口が動いていた

『サソリちゃん!俺と海行こう!』

『……はぁ?』

俺は突然こう言った
自分でもいきなりかと思った
だけど思ったことはすぐに口に出ちまう俺のこの癖は
自分で何とか出来るはずもなく
サソリちゃんは不信そうな目付きで俺を見る

『なんだいきなり…この暑さでついに頭いかれたか…』

『いかれてねぇよ!俺はいつでも正常だ!』

『お前が正常なら他の奴皆仏だな』

『どういう意味だよ!』

相変わらずサソリちゃんの毒舌は凄い
あのくそリーダー前泣かしたって聞いたことあるが
まぁこんな毒舌なら繊細な奴は泣いちまうな
俺は違うけど…

『最近暑いだろ?だから涼みがてら行きてえなぁって思ってよ』

『…俺は傀儡だから暑くはねぇけどよ』

『…』

そういえばそうだった…
サソリちゃんは傀儡だから
暑いとかそんなのなかったんだよな…
生まれて初めて俺は自分をバカだと思ったよ


『…まぁいい、丁度メンテナンスも終わったし行くか』

『えっ』

『でもお前水着とか持ってるのか?』

『持ってねぇけど最悪全裸で泳ぐことにs『じゃあ行くか』』

俺の解答を最後まで聞かねぇで
サソリちゃんは先々と行っちまった
真面目に答えたんだけどよ…




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