声優BL

□しもかじ小説〜新しい一歩〜(梶裕貴 視点)
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俺には恋人がいる。
その人の名前は下野紘。
男同士だからって付き合っちゃいけないだなんて誰が決めた……。
好きだという気持ちには変わりは無い。
俺は毎日そう思っていた。
周りからも引かれる。
でも下野さんといる時だけ、何もかも忘れられた。
俺にとって大切で癒しの存在。

今日はお泊り会をする。
恋人になってまだ一日も経っていないのに下野さんは『いいよ』と言ってくれた。

――夜。
俺は下野さんと居酒屋ではなく家で飲もうと決め、帰りにコンビニに寄って帰った。


バタン…(ドアを閉める)

下野「お邪魔します。」
梶「どうぞ。」

下野さんはキョロキョロと見渡しソファーへ座った。
やっと静かな場所で二人きりになれたと思うと嬉しくて今にも跳びはねたくなるくらいだった。

下野「じゃ…乾杯するか。」
梶「そうですね。」
下野・梶「乾杯!」
下野「はぁ……。今日も疲れたな……。」
梶「肩もみしますか?」
下野「あー…じゃぁ頼む!」
梶「はい。」
下野「………。」
梶「………。」
下野「……………。」
梶「………あの。」
下野「ん?」
梶「下野さんに触れてはいるけど………顔は見れません……。」

俺はわがままだ。
自分から言っときながらこうなってしまう。
下野さんはいつも『梶君は優しい』とか言ってくれるけど…本当はわがまま。
どこが優しいんだかわからない。

下野「はぁー…食った食った!じゃぁ早いけどお風呂入って寝るか。」
梶「先に入ってください。俺パジャマとか用意するんで。」
下野「頼んだ。」

そう言って下野さんはお風呂へ行った。
俺は残したものや皿などの片付けをした。
そして下野さんが着るパジャマを用意して風呂場に置いて、一人でテレビを見た。

梶「はぁ……。」
下野「ふぅ…いい湯だった!お風呂ありがとう。」
梶「いえ。パジャマきつくないですか?」
下野「ちょうどいいよ。」
梶「よかった。じゃ次入ってきます。」
下野「うん。」

俺は自分のパジャマを手に取り入った。

梶「はぁ……。」

そういえば俺…さっきからため息ばっかりしてるような……?
そんな気がしながらも体を洗い、湯舟に浸かって出た。
そしてパジャマに着替え、部屋に戻ると下野さんは誰かと電話をしていた。

下野「だから、違います!…え?はぁ……わかりました。明日必ず行きます。はい…はい…わかりました。じゃぁ。」
梶「下野さん…?」

俺は恐る恐る下野さんに近づいた。
こんなにイライラしてる下野さんは初めて見た。

下野「あ……出たんだ。もしかして…聞いちゃった?」
梶「あ…いえ。下野さん…イライラしてるように見えたんで…どうしたのかなって……。」
下野「仕事の事でマネージャーともめててさ……。今日の収録サボったから、明日監督に謝っとけって。」
梶「まさか、俺の為に……―」
下野「お前のせいじゃない。大丈夫だから。」

下野さんは俺の両肩を掴み、真剣な目で見つめていた。
俺は頷くしかなかった。

下野「じゃぁ寝ながら話しでもするか!」
梶「そうですね。」

下野さんはそう言ってベッドに寝転んだ。
俺は布団を用意しようと押し入れを開けた。

梶「よいしょ……。」
下野「布団…出すの?」
梶「はい。」
下野「布団出すならさ……一緒に寝ない?」
梶「え?一緒のベッド……でですか?」
下野「う…うん……。」
梶「でも狭くないですか…?俺は構いませんけど……。」
下野「一緒が……いいんだよ……。」

――ドキッ…

ああ……これがドキドキなんだ。
こんなにもいい音がするなんて…知らなかったな……。
知らなかった…というか久しぶりかもしれない……。
この音がこれから続くんだ…と思うと嬉しくなった。

梶「わかりました。……では隣…失礼します……。」
下野「プッ。」
梶「え?何で今…笑って……?」
下野「自分の家のベッドなのに失礼しますは無いでしょ。」
梶「あ、そっか…そうですよね!」
下野「そうだよ!アハハ…ハハハッ!!」
梶「ちょっ、下野さん!!笑いすぎですよ!!」
下野「ごめん!!だってぇ!!あー、笑いすぎてお腹痛い!!」
梶「もう………。」

この時間が俺にとって幸せだった。
どんな困難でも下野さんとなら乗り越えられそうな気がした。
そして次第に俺はある事を考えていた……。

梶「下野さん……。」
下野「なんだ…?」
梶「………。」
下野「呼んどいて無視は無いだろ……。」
梶「違うんです……。」
下野「ん?じゃぁなんだよ。」
梶「あ…あの……。」
下野「………。」
梶「キ……キス………してみたいなぁー…って……。」
下野「え?キス……?」
梶「はい……。」
下野「………。」

今のは絶対引いたにちがいない。
しかし下野さんは……。

下野「いいよ。」
梶「え?いいの……?」
下野「したいんだろ……?キス……。」
梶「う…うん……。」
下野「俺…梶君だから…いいよ……。恋人………だし。」

恋人という言葉に慣れてない俺は言われた途端顔を真っ赤にした。
それに気づいた下野さんは『顔真っ赤』と優しく笑った。
よく見ると下野さんも顔が真っ赤になっていた。
下野さんも気づかれたせいかハッとなり、俯いてしまった。
俺もつられて俯いてしまい、お互いなかなか目が合わせられなくなった。
それじゃダメだと気づいた俺は顔を上げて下野さんを見つめた。
下野さんは更に赤くなりついには後ろを向いてしまった。

梶「下野さん…こっち向いてください……。」
下野「今は…向けない……。見たら多分……恥ずかし過ぎて泣いちゃうかもしれない………。」
梶「そう言われても……。」
下野「………。」

俺は下野さんの頬を両手で掴んで無理矢理こっちに向かせた。
そしたら…下野さんは泣いていた。
こんなかわいい顔を見るのは初めてだった。

下野「っ……!!今は見るな!!」
梶「もっと…もっと見せてください…。隠さないで……お願いですから………。ね?」
下野「……うん…。」
梶「………。」
下野「あ…あの、さ。」
梶「はい?」
下野「キス……まだだったよな………?」

下野さんは少し俯きながら言った。
俺はハッとし、急にまたドキドキし始めた。
しようとするとドキドキする………。

下野「するなら…してくれないと…いつまでもこうされちゃうと……。」
梶「わかりました。じゃ目を閉じてください。」

俺がそういうと、下野さんは目を閉じた。
俺はゆっくりと顔を近づけた。

梶「……ん…。」
下野「………!!」

下野さんが少し体をビクッとさせた。
俺は止まらなくなってきて舌を入れた。

下野「っん…!?」
梶「ふぁ…ん……。」
下野「んん!!」
梶「……どうしました……?」
下野「いきなり舌入れる奴あるか!!…あー…ビックリした……。」
梶「ごめんなさい…。」
下野「いいけど……。」
梶「俺…初めて気づいたんですけど…好きな人とキスすると……止まらなくなる……。」
下野「それは…本当?」
梶「うん………。」
下野「なら…もう一回しても………い……ぃ………ょ………。」
梶「ほ、本当……?」
下野「う、うん……。」

それが嬉しくて二回目はもっと激しくキスをした。
そして…俺は緊張と眠気で、そのまま寝てしまった。

――翌朝。
俺は寝ぼけながらも目を開けた。
そして俺はビックリした。
俺達二人は裸になっていた。

梶「え……!?なんで…?」
下野「お…おはよ…。」

下野さんの様子がおかしい。

梶「あ…あの……俺……。」
下野「う…うん……。」
梶「まさかだと思うけど…あの……しちゃった……?」
下野「………。」

下野さんの顔が真っ赤だ……。

下野「梶…君……。」
梶「あの…あれ、あれだよ。言わなくてもわかる…よね?キス以上の……事……。」
下野「しちゃった…かな……。」
梶「あちゃー……。あの……とにかく…ごめんなさい!!」
下野「梶君は悪くないよ……。気持ち良かったし。」
梶「そんなハッキリ言わないでくださいよ!!」

これからも傍にいてください。
そして傍にいさせてください。
二人で幸せになろう。

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