白衣の帝王
□始まり
1ページ/1ページ
ここ、ホグワーツ学園は町はずれの丘(山?)にある全寄宿制のの高等学校だ。
寮は4つに分けられていて、それぞれ変わった名称がついている。
それには理由があり、4人の創始者がうんぬんどうのこうの……らしい。
これ、余程重要なのか何なのか知らないけど
しょっちゅう話されるんだよね、集会とかで。取り敢えずこの学校が歴史伝統を重んじるという事だけは解った。
日本から転校してきた私にとっては、珍しい教育方針だなーと思う。寮別に強い団結力や協調性が生まれるけれど、言い換えれば差別に繋がりかねないし。
町から隔離されていて、さらに全寮制と言うなんとも閉鎖的な環境。
周りは森だよ、森!(崖とかもあるよ!)
……にも関わらず、それなりに楽しかったりする。
校舎古めかしい洋風でめっさ綺麗だしね!
転校してきたときはそりゃあもう、テンションが!
ただ、
一つだけ気がかりなことと言えば……
「いでっ!」
……怪我することが、多い事。
なんでこうも怪我が絶えないのか。
ついてないのか、はたまた何かに憑かれているのか……
ていうかいきなり本が飛んでくるってどういうことなの……?
しかも向こう側の校舎から飛んできたぞ。
見れば遠くの窓から謝ってくる人の姿が見えた。
取りあえず手を振っておいた。
「大丈――ってあぁ!?なまえ額から血が出てるわ!!」
「え?あ」
つ、と額を伝うものを指で触り見てみる。
「本当だ」
「保健室行ってきなよ」
「いいよ。なめときゃ治る!」
「舐めるってどうやって!?」
***
保健室のドアを見つめてみる。
……結局こうなったか。
実をいうと、保健室に来るのは初めてではない。転校当初(一昨日)も来たからね。
正直、あまり来たくない。
だって消毒痛いもの。
額には血管が多いため大袈裟に見えるだけだよ、とはいったものの「脳にばい菌入ったらどうするの!?」という意見に押されました。
本当だったら超怖いよそれ。
「失礼しまーす」と言って入ると、背の高い先生の背中が見えた。細身で、スラリとした後姿。窓の外を眺めていたらしい。コーヒーを飲んでいたらしく、手にマグカップを持った状態だった。
景色と夕日をバックに、先生が振り返る。
……絵になるなぁ。
「また君か。」
そう言って、クスリと優雅に微笑んだ。
容姿端麗で非の打ちどころのない外見の持ち主であるリドル先生が微笑むとそりゃぁもう男女問わずノックダウンするほど美しい。
うお眩しい!!
って、思わず顔をそらした。
「取りあえず、座って。」
言われるままに座る。
先生は細く長い指でそっと私の前髪に触れると、優しい手つきで掻き分けた。
言われるがままに、額の傷を見せる。
……おー近い近い。
こうも顔が近いと乙女たちは完全にノックアウトするのだろう。
仕方ないから膝に置いた手を眺めていた。
「おしまい。」
先生は手際よく手当てを終えると、そっと額を撫でた。
消毒は痛かったけれど、まあどうにかなった。
……にしてもコレ、ちょっと恥ずかしいかも。
うーんと不服そうに額を見上げながら、指でガーゼの横を掻く。
先生は机に向かい何かを書いていたようだが、書き終えたのかクルリと椅子ごと振り返った。
「君は、しょっちゅう来るね」
不意に、質問する先生。
「私以外にも、たくさん来るんじゃないですか?先生のファン、多いみたいだし」
と言うと、微妙な顔をされた。
困ったように苦笑している。
……そっか、大変なんだろうなぁ。
ぼんやりとだけど、そう思わずにはいられなかった。
「安心してください、私はそんなんじゃありませんから」
熱狂的なファンの方々の有様を脳裏に浮かべながら言った。思わず苦笑しながら。
……うん、本当に凄まじいからね、アレ。
正直引いたことある。
お礼を言ってとっとと出て行った私は、
リドル先生の驚いた顔に気付く由など無かった。
---------------
ハリポタ部屋にある「保健室の帝王」が元ネタで
発展した結果の産物と思って下さい(´`
最初だからか中々地味だね!