ハリポタ

□眠りにつく前の話
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がりっ


鋭い痛みが首筋に走り
僕は目を見開いた。

ベッドの上に、足を投げ出すような形で腰かけていた僕は、突然の出来事に対処出来るはずもなく、
急に僕へと飛び込んで来たなまえを受け止める。

まるで吸血鬼のようなその行為。
バサリ、床に本が落ちた。

「――ふふふふふー」

なまえが首に顔を埋めたまま、含み笑いをした。
いたずらっぽい顔が目に浮かぶ。
くすぐったい。

「私って今日から吸血鬼なんだ!」
「……は、?」

跨がった状態のまま
上半身だけを起こし、なまえが笑った。

「だからリドルも、吸血鬼だね」

ふふふっと
鈴を転がすように笑って、
再びパタリと胸に倒れ込んできた。

はぁと思わず溜め息をつく。

「また変な遊びを覚えたのか?」


ポンポンと頭を撫でながら、何故吸血鬼なのかと問えば、
んーと短く声を漏らす。
……何故撫でようと思ったのかは、解らないけど。


「言われたんだ」
「……言われた?」

ハタと手を止める。

「うん。お前は吸血鬼だーって」
「――……」

そう言って、なまえは笑った。
そう、笑っていた。

「だから私は吸血鬼!」
「……そうか」

ゆっくりと、頭を撫でた。
きっと言ったのは
この孤児院にいるマグルの奴等だ。

僕は外の奴らに虫唾が走る為部屋を出ないし
あいつらとは極力顔を会わせないようにしている。(夏休みは退屈な上に屈辱的だ)
よって僕はなまえがどのような感じでそう言われたのかは知らない。
また、どんなつもりであいつ等が言ったのかもしらない。

いずれにせよ、なまえは笑っていたため傷ついてはいないようだ。
単なる戯れなのかもしれない。



――もし、
傷つけるために言ったのならば……


僕は必ず


あいつらの大切なものを

奪い 破壊し


―――消してやる。



   
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