ムゲン

□続きの出来事
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その表情にも驚いたが、正直その発言の方にもっと驚くべきだ。


「相思相愛―――って、え?」
「だってそうだろう?」
「(どうだろう)」


平然と言ってのけたリドル君に、私は「う、うーん?」と首を傾げる。リドル君が何考えてんのか何を思ってそう言ったのかまたその発言の真意は何なのか、全部解らない。

ちなみに不吉な予感が今、胸を全力でぶん殴ってきて生きた心地がしていない。


「それって、どういう……?」


しかし彼は意地悪なのか、答えを何一つ教えてくれなかった。
さっさと顎を掴んだ手を離し、身を離す。ちなみに謝罪の言葉は何一つない。


「さあ、夜ももう遅い。そろそろ部屋に戻らないと」
「う、うーん?」
「君も寝るだろう。」
「お、おー?」


目を見張ったまま曖昧な返事をしていれば「はっきりしない人だね」となんか怒られた。
はっきりしないってそりゃあ、先ほどの出来事に気を奪われていますから。

……しかし、日常というものはとたんに戻ってくるようで、先ほどのこと全部なかったのではないかというくらいに、リドル君は何も言わない。こちらからわざわざ掘り返すのもあほらしいように思えて、それと掘り返すというか墓穴を掘ることになるように思えて、私はきれいさっぱり忘れることにした。そして考えるのを、やめた。


「そうですね、寝ます。ちなみに私はスリザリンとなにやら因縁のありそうなグリフィンドール生なので、じゃあ」


もう3秒ですべて忘れた気になった私は真新しい心持でそう告げた。そしていつもの様に踵を返したのに、腕を捕まれてはいささか驚く。


「明日の夜、またここへ来るように。話がある。待ち合わせ時間は君が夜だと思ったその瞬間だ。ちなみに僕は待たされることが大嫌いだ。いいね?」


振り返った瞬間浴びせられる、針のようなお言葉。

―――前言撤回。非日常がカムバックした。




         


   

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