ストレイト!
□06.
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「何を言っているのかは大凡理解したとは言えボクにとっては理不尽でしかないそして1、君のその感覚の正体や答えってものはボクだってよく解らない。つまり―――」
「僕を足蹴にするんだね……?」
睨むと尋常じゃないくらい怖いんだなコイツ。
「あー……」
視線が泳ぎ、やがて落ちた。
「ボクは―――」
少し、少しだけ、
昔の光景が胸を締め付ける
「ボクは痛いのが、嫌いなんだよ……」
情けない声になっていない事と、弱音を吐くような仕草になっていない事を、今更ながら危惧した。
「……、ふぅん……」
そう残してコイツは腕を組むと、嘗め回す様にボクを見下ろす。
……なんでボクが悪い事して怒られてる子みたいなポジションになってんの?
少しの間、その奇妙な状態が続いた。その末口を開いたのはコイツだった。
「僕は――自分で言うのも何だけど――年上も含めこの学校にいる全ての生徒の中で一番魔力にも才能にも長けているし、闇の魔術にも精通している。無論、授業では教えない所もね。」
コイツが「自分で言うのも何だけど」って使うときは、絶対に心が籠もってないよな。
「つまり、誰かを痛めつけるなんて、造作もないんだ。誰にも気づかれず見つからず、ひっそりとね」
それにしても目が本気だ。
これは……脅しに慣れてるな、絶対。
「君は痛いのが嫌なんだろう?」
嫌に決まってんだろハゲ
「でも―――」
「君が嫌がることは―――僕はしない。」
―――え……?
「君を傷つけることはしないよ」
「―――!」
それは余りに、予測を反する言葉。
「ただし、」
え?
「食事の際は絶対に僕の隣ね。」
え、
「明日も明後日も休日もずっとだよ」
え
「授業の席も僕の隣」
え、え、
「残念ながらベッドは隣じゃないけど」
Yes!!
「移動も必ず、僕と一緒だ」
……ちょ、何だこの底なしの支配欲どっから湧いてるんだよ。
「勿論、いいよね……?」
目の前のこいつは、威圧的に微笑んだ。
「―――ふふふ、」
ボクは優雅な笑みを浮かべてみせる。
「善処します」
ボクにとっての善処をな!!
心の声を繋ぐのが
これ程怖いモノだとは
(どうせそんな事だろうとは思ったけど)