ストレイト!
□04.
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「君は知っているかい?この感覚の名「世界はそれを、愛と呼ぶんだぜー」……」
このひどく間延びした台詞は、
決してボクのものではない。
目の前のコイツは目を見開いて(怖えーよ)、ゆっくりと声の主を見た。
ボクも別の意味で見開いて、声の主を見る。
その視線の先の廊下には、もう声の主は居なかった。まだ僅かに聞こえるのは、数人の女の子の楽しそうな話し声。
通りすがりの声だったのだと、安易に想像できた。
―――ハハッそうだよなつまりボク達へ向けての言葉じゃ当然無いよな。
「……」
チラリと、視線を戻す。
両眼が悪寒がする程こちらを見つめていた。
コイツには、「それがあの歌の曲名なんだけどー」というあの子の台詞は耳に入っていないのだろう。
「“愛”……?」
「いやいやいやいや違う違う違う違う違うからホント全然違うから」
世界はそれを
(“愛”と―――?)
(そうであってたまるものか絶対に)