白衣の帝王
□理不尽たる所以
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『先生凄いです……!』
『一緒に食べに行きませんか?』
そのような言葉を言われたことなど、何度もあるというのに。
聞き飽きるほど耳にしたというのに―――
別に、珍しい言葉ではない。
目を閉じれば何度でも 聞こえる。
笑顔を向けられることも、珍しい事ではない。
なのに、
あの時のなまえの表情が、
網膜に焼き付いてしまった。
大きな瞳いっぱいに光をため込んで、僕を見る。
本当に、アホさがにじみ出るような顔。
その瞳に映る僕もまた
―――呆けた顔をしていた。
「(―――面白い、奴)」
そう思ってしまったは、きっと
『滑稽だ』の意味に違いない……はず。
自分の頬が、ほんの少し緩んでしまうのは
嘲笑っているだけ……だと思う
「―――なまえ、」
無意味に名前を呟いた。
無駄な行為をするなど、らしくない……なのに
誰も居なくなったこの部屋で
未だ残響が残っている気がした。
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翻弄する相手がなまえさん故に
逆に翻弄される可能性も僅かながら
あるんですよ、リドルさん!!
感情による動きが少なく冷淡な
感じを書けてたらなーと思っています。