薄桜鬼ED後

□房中法度(明治三年師走)
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房中法度(明治三年師走) 1
《17萬打御礼アンケート話》


戦に明け暮れていた日々が、まるで幻だったかのように‥‥静かに時が流れていく。
獅子奮迅の戦いをしていたとは思えぬほど、毎日が平穏で‥‥少し物足りなさすら歳三は感じていた。
2年前、蝦夷地に乗り込んだときは‥‥重苦しい雰囲気とそれ以上にどんよりとした曇天に自らの運命を重ね合わせていたが、今日は抜けるような青空に恵まれて、この極寒の地にしてはいつもよりはやや暖かい。

先日から降り続いていた雪も今日は降らないだろう。
もちろん‥‥これで雪が消えていくわけがないことくらい、この地で三回目の冬を迎える歳三には十分わかっている。
だが、とめどなく降る雪が‥‥少しでも少ないほうが、今の歳三としてはありがたい。

「歳三さん‥‥腰は大丈夫ですか?」

千鶴が歳三好みの熱いお茶をもって縁側に現れた。
歳三はその縁側に腰掛け、柱に寄りかかりながら庭を眺めている。

「今日は少し暖かいからな。調子がいいんだ。」
「腰は一度痛めると癖になりますから‥‥気をつけてくださいね。」
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