小説

□魔王の名は……。
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「間に合わない。あいつ、殺される!」そう思ってウィードが目をギュッと閉じた瞬間、首が飛ぶにしてはあまりに豪勢な破壊音と共に、状況は一転した。

ドゴァ!?
不可解な轟音を、脳内リピートしたウィード。
思わず開いた目には、よく解らないものが写っていた。

脚。

変な武器。

後、何か黒い頭の怖い顔の人。

最後の、誰?

また現実から逃げようとしたウィードの心を、彼にとっての究極の癒しヴォイスが引き止めた。
「ねぇねぇお兄ちゃん。見て〜大っきな穴ぁ〜〜♪」
「のわぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ゛っ!?」
壁…かつて窓があったその場所には、広々とした穴が開いていた。ウィードの家の通気性が、村一番になった瞬間である。
絶叫し終えたウィードはその穴から、何やらさっきまで大ピンチだった怪我人に酷似した後ろ姿が落下していくのを見た。
「おーい……どこ行くんだよ…もう……」
怪我人は体勢を立て直さんとするチェグを追って離れていく。
「フェア、ここでじっとしてろよ!」
とにかく、止めないと…!!

奴等はとりあえず危険である。
放置すれば何があるやら分ったものではない。ウィードは、バタバタと後を追った。
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