小説

□日常の終わりは半裸から。
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「お兄ちゃん、木の実も拾って来てねっ!」
「ああ、行って来るよ」

笑って兄を見送る妹、フェア。
それに笑い返して頭を撫でる兄、ウィード。
彼らの朝は、本当にいつも通りだった。
両親が既に亡いことは珍しかったが、それ以外は何も余所と変わらぬ田舎の村の朝だった。


ウィードは主に町に薪を売りに行くことで収入を得ている。
だから近隣の森に入ることも、全くもっていつものことだ。

あ、花……。
フェアに花輪でも被せたら、可愛いだろうなぁ〜♪

不意に目に止まったどこにでもある白い花。それを見て愛くるしい妹の姿を思い浮かべたウィードは、顔を緩めてその前に屈む。シスコンなのも、いつものことだ。
「花も、摘んで帰ってやるか」
ニコニコとしながら花に手を伸ばしたウィードだったが、急に目を見開いて飛び退いた。
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