天使系小説

□蠅の街4
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激しく息を吐きながら、もう駄目だと目を閉じたその時、頭にまとわりつく声は消えていた。

小さな手が、耳を塞ぐのを止めると、ゆったりした足音が近付いて来た。
パパだったら良いのに…ボクはここだよ!怖い悪魔が追いかけて来るんだよ。ボクを食べるって言うんだよ…そうやって父に心で語りかけるサイモンの視界に長身の影が映った。
それは、彼が待ち望んだ父その人だった。

「パパ!」
安堵に包まれたサイモンは父に駆け寄る。
彼は父に抱きついて今までの恐怖を吐き出してしまおうと顔を上げた。
「パパ、助けて!悪魔がボク……」
「ねえ、サイモン。私のことを話したら…どうなるのだった?」

見上げた先では、蠅の王が笑っていた。
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