天使系小説

□蝿の街7
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ベルゼブブ、この堕天使は反逆の何たるかを熟知した善き天使さえも惑わす手腕の持ち主、(過去のルシファーの反乱時に全天使の三分の一を己が側に引き込んだのも主にこの熾天使なのだ)、彼と話し始めた時点で会話の終着点は既に決まっているのかもしれない。
そう、彼に狙われた者は悉く、彼の敷いたレールに誘導されるのだ。あたかも自分で選んだかのように。
生まれついての指導者、元熾天使の長の名は伊達ではない。

現に今ベルゼブブが言った言葉は真実であるが故に、天使は口を挟めなくなった。ベルゼブブへの助勢にしかならないからだ。

十分に間を置いて、ベルゼブブは言った。
「だって彼は私の誘惑に屈し、魂を売ってしまったのだよ」
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