天使系小説

□蠅の街4
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鍵を開けた先にチェーンが掛かっているのを見て、エミリーが溜息を吐いた時、サイモンはもうそこにはいなかった。

遠くではバタバタと響く足音。
それはエミリーの耳に届いていたが、少年を家の前に連れて来る以上のことをしてまたヨセフに会う機会を逃すなんていうことを、彼女は決してしたくなかった。そのため、彼女がしたのは物音に眉を顰める程度のことだけだった。


「何を怯えているんだね?当然の帰結というものじゃないか」
サイモンの頭に声が響く。
それから逃れようとサイモンは必死で走る。
「どうして逃げる?裏切り者の辿る末路は教えてあげたじゃないか。自分で選んだだろう?」
涙目で出鱈目に走ったサイモンは、袋小路に着いてしまった。
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