P5STORY

□壁の奥
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私、松永愛子
(まつながあいこ)
はこの春から
新任教師として
ある市内の
公立高校
永津商業に
勤務することに
なった22歳。

主にビジネス系
に進む子が
通う学校である。

そんな私も
やっと学校生活に
慣れ始めた
5月の中旬。

ゴールデンウィーク
が明けて生徒も
休みボケが直らない
この時期から
私は変な夢を
見るようになった。

「先生…助けて。。」

知らない生徒が
ひたすら見慣れない
トイレの中で
這いつくばって
苦しんでいる
夢だ。

制服は永津商業
の制服だが、
生徒の顔には
見覚えがない。

この夢は毎晩
見ている。

何か悪いことが
起きる予感がしていた。

ある日、私は
いつもと違う
夢を見た。

苦しんでいる生徒は
同じだが、
そのいつも
苦しんでいる
生徒は床には
這いつくばっておらず
廊下を歩いているのだ。

向かう先は
職員室。

職員室の中には
私の同僚で先輩の
菱田茂雄
(ひしだしげお)
の姿がある。

この教師は
生徒からの評判
はもっぱら悪く
もうすぐ定年の
国語教師だ。

名前のわからない
いつもは苦しんでいる
生徒が菱田の
背後まで迫った。

そしていつもの
「先生…助けて。。」












目が覚めた。



私は汗だくで
夢だったことに
感謝した。

時計の針は
午前7時30分。

今日は普通に
平日なので
慌ててしたくをして
学校へと出勤した。

すると学校の前に
パトカーに救急車
が停まっている。

一体なんだと思った。

私がこの学校の
教師だという
ことを話し、
中に入れてもらい
事情を聞くと
血まみれになって
菱田先生が
死んでいた
と言うのだ。

まさか…
あの夢は予知夢
だったのだろうか…



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