今夜はから騒ぎ

□第六話
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「…ただいま」

昼過ぎに幸村がふらりと戻ってきた。

顔は明らかに光を無くし、涙が流れた跡が鮮明に残っている。

「精市…!」

真田が必死の形相で駆け寄り、幸村を抱き止め抱え上げた。

「大丈夫なのか!?精市…!」

「…ぅ、ん。ブン太と、ジャッカルの…お陰でね。…それより…雅治、に…会いたい…」

幸村は力無さそうに微笑んだ。

庭にいた赤也と柳も心配そうに二人を見つめている。


「…雅治は比呂士と一緒だ。連れていこう」

真田は幸村に軽く口付けると奥の部屋へと向かっていった。



「…蓮二さん、せいいちさん、大丈夫ッスか?」

「きっと…大丈夫だ」

赤也の目がだんだん潤んでいく。

柳は悲しそうにそれを見ると、ふわりと赤也を抱き上げた。


「俺達は一回帰ろう。次来たとき精市が元通りな確率、97%だ」

「うぅ…っ。…はいッス」




「…精市君!?どうなさったのですか!?」

「すまない…比呂士。雅治、と…二人にして欲しい」

幸村は真田に布団に下ろしてもらうと、仁王に支えられた。

「…精市」

仁王も苦しげな表情をしている。


柳生は真田に連れられて未練がましく出ていった。



「…雅治、治せる?…今は夜じゃないけれど」

「邪気を吸いとるのはいつでもできるけぇ、負担はかかるが…何があったんじゃ…?まさか」

「そう。君をそんな風にした張本人と、あと二人…いるんだ。君に邪気を向けてる…奴等が」

「…取り敢えず、吸うな」


仁王は幸村の肩に手を置いた。

そうすると仁王の全身が黒い邪気に覆われる。

「く…!、ぁ、はぁ…!っん」

苦しげにうめき声を上げる仁王とは対照的に、幸村の顔がだんだんと明るくなっていった。

「…雅治、ごめん…ごめんね…俺、お前を守れないかもしれない」

幸村は崩れ落ちた仁王を抱き止めて、悲しそうに言った。

「…えぇの。だい、じょぶ…ゃから、おれ、明日…行ってくる…」

仁王は決めていた。

幸村や柳生達と暮らしたいから決めたのだ。

幸村は何も言わずにただ仁王を抱き締めて ありがとう と呟いていた。
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