捧げ物

□天使みたいなあの子
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放課後、階段から天使が墜ちてきた。

否、恋人が落ちてきた。


「う、わぁっ!」

ドス、という鈍い音と共に下敷きになる。


「いて…。おい、雅!」

頭をさすりながら上にいる恋人に声をかけると、銀髪の彼女がこちらをゆっくり向いた。

「ごめんブンちゃん…大丈夫?」

申し訳なさそうに言い、すぐに上からどいた。

「危なかっしいんだよ!今度は何しようとしてたんだ!」

ちょっと怒り気味に言うと、しゅん と顔を俯けた。

「手すりに鳥がいたから」

「…助けようとしたってか」

「おん」


丸井は仁王を見つめ、ぎゅ と抱き締めた。

「それでお前が助からなかった方が俺は悲しいよ」

低い声で言うと、仁王の顔がぶわぁ と赤くなる。

「…そんなこと、言われたら、もう…しません…」

呂律の回っていない可愛らしい姿に 丸井は溜め息をつき、更に抱き締める手に力を入れた。

細い身体でいつも危ない動物を見付けると助けに駆けていく。
雲のような、掴みづらい性格。


丸井はそこに惹かれたのだが。

彼が仁王に惚れたのも 階段から彼女が落ちてきた時であった。

日に照らされる消えそうな白い身体に、吸い込まれそうな琥珀色の瞳に、掴みづらくも一途なその心に 惚れ込んだ。


身体を離し、そっと口付ける。

「ほんと、お前天使」

笑いながら言うと、仁王は更に顔を赤くして立ち上がった。

その瞬間に見えたスカートの中身に感想を述べてやる。

「…水玉」

「…!〜〜〜〜っ!あほっ!」

走り出して見えなくなってから丸井はべ と舌を出す。

走り去る彼女の背中にほんとに翼が生えたように見えて。


また動物を助けようとして落ちてくるんだろうなと考え、勢い良く走り出した。


「天使を受け止めるのは、人間の王子様ってな」



天使みたいなあの娘


(そんなとこが、大好き)






※後書き※


私の渾身の甘甘です…!

これで良かったでしょうか?


応えられていれば嬉しいです♪
丸仁も捨てがたいですね!

リクエストありがとうございました♪


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