水縹色の氷花

□敵の存在
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敵と思しき者たちの襲撃から一夜明けて、まるで何事もなかったかのように静かな昼休みの屋上。


「…んで?なんだよ、話って」

「きのうの話ですよ、きのうの!」


のんきにたずねた真弘に、珠紀は少し声を荒げて答えた。

きのうの戦いの後、宇賀谷家に行くと、他の守護者たちが全員集まっていた。いったいどうしたことかとたずねると、他の面々も妙な胸騒ぎに促され、それぞれの管理する宝具の場所に行ってみたのだという。
そしてそこで、不思議な人たちと出会ったというのだ。

二、三言葉を交わし、あるいは軽く手合わせをした後、その不思議な人たちは闇に消えたらしい。


「ねぇ、たぶんなんだけど、封印を襲った人たちって、みんな同じグループに所属してるって感じがしない?」

「僕もそうだと思います。あんなにタイミングよく複数の結界が襲われるなんて、ありえません」


珠紀の問いかけに、真っ先に慎司が答えた。


「あの領域は力のある者でなければ、足を踏み入れることさえできない」

「確かに、あの人たちただ者じゃなかった…」


祐一の言葉に、彩月もきのうのことを思い出しながらそう続けた。

侵入者の話をまとめるとこうだ。
襲われた封印は三つ。侵入者は四人。それぞれが、アイン、ツヴァイ、ドライ、フィーアと名乗っていた。


「…でもさ、これってたぶん偽名なんだよ」

「この呼び方はドイツの数え方で、一、二、三、四って意味だって、大蛇さん言ってたもんね」

「…つまり、そいつらはやっぱりつるんでる可能性が高いってことだな」


拓磨も侵入者は全員仲間説に賛成のようだ。





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