水縹色の氷花

□二人の関係
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放課後、玉依のことについて調べたいという珠紀に付き合い、卓も含めた守護者たちは宇賀谷家に向かって歩いていた。


「そういえばさ、みんな趣味とかあるの?」


道中、突然珠紀はみんなにそんなことをたずねた。


「それは、俺たちがおまえを守る上で関係あることなのか?」

「あります、おおありです!一人一人の個性を知っておくのは悪いことじゃありませんからね」


腰に手を当てた珠紀は、祐一の質問に勢いよく、はっきりとした口調で答えた。それを聞いた全員は一瞬顔を見合わせたあと、各々自らの趣味について語りだした。まず口を開いたのは真弘。


「俺はバイクだな」

「…え?バイクに乗るの?」

「おう、乗る予定だ。この村に残ることを条件に、そのうちバイク買ってもらう約束してるんだよな」

「…うわ、買ってもらうんですか」


堂々と「買ってもらう」宣言をした真弘に、珠紀の顔は若干引きつり気味だった。


「まぁまぁ珠紀ちゃん、そう言わないであげて。確かにちょっとかっこ悪い気もするけどさ」

「かっこ悪いってなんだよ!」

「あはははは」

「なんか俺、バカにされてんのか」

「いやだな、バカになんてしてないよ?ね、珠紀ちゃん!」

「え、そ、そうですよ!…えーと、拓磨は?」


真弘が面倒くさくなりそうだったので、珠紀は次の人に話をうつすことにした。


「俺か?俺は、クロスワードパズルかな」

「そういえば、昔はわからないところをよく私に聞きに来ていましたね。あの頃はかわいかった」

「え、なんですか?卓さん、拓磨の小さい頃のこと知ってるんですか?」

「えぇ、彼らはこの地でずっと育ってきたのですから。鴉取君や狐邑君、それから龍野さんの幼い頃もよく知っていますよ」

「大蛇さんは私たちにとってお兄さんみたいな存在だったからね。まぁ今もだけど」

「へぇ〜。ちなみに卓さんは趣味、どうなんですか?」

「私ですか?そうですね、強いて言うなら茶を少々」

「茶道をするんですか?」

「いいえ、そんな大仰なものではありません。紅茶でも緑茶でも、集めるのが趣味、ですね」

「大蛇さんのいれてくれるお茶はすっごくおいしいんだよ。ただの趣味にしておくのはもったいないくらい」

「それはどうもありがとう」


卓の笑顔を見ながら、彩月はふとあることに気づいた。

(そういえば、拓磨のクロスワードの話にはほとんど触れられていないような…)

拓磨の方に目をやれば、珠紀に特に何もコメントしてもらうことなく卓の話にうつったことがややショックだったのか、心なしか肩が落ちているようにも見える。
だがしかし、珠紀がそんな拓磨に気づくはずもなく、話は次へ進んでいった。




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