水縹色の氷花
□オサキ狐命名会議
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彩月たちが珠紀と出会ったその夜は、美鶴や守護者のまとめ役である卓も交え、宇賀谷家で珠紀の歓迎会をかねた鍋パーティをした。
そして今は、その翌日の昼休み。
「きのうの鍋はおいしかったなー」
「見てない」
「俺様が鍋奉行してやったんだから、おいしくて当然だな」
「見てた」
「真弘、鍋に関してはこだわるもんね」
「見てない!」
「まぁなー」
「いーえ!見てました!」
「…ねぇ、ところでこれはいつまで続くのかしら?」
真弘と彩月がお昼ご飯を食べながらきのうの鍋について話をしている横で、拓磨と珠紀は謎の言い合いを繰り広げていた。
「…おまえら、何やってんだ…」
いつもあきれられる側の真弘が逆にあきれる始末である。その隣の祐一は、我関せずとでもいうように、ぼーっと景色を見ていた。
「ちょっと聞いてよ、先輩!拓磨ったら、英語の時間ずーっと真面目に授業受けてたんですよ!」
「…え?真面目に受けるのはいいことなのでは…?」
真弘も彩月と同じことを思ったのか、珠紀の言葉に眉をひそめている。
「さぼって怒られるならまだしも、なんで真面目に授業受けて怒られんだよ」
「でれでれしちゃってさ!そんなんで守護者なんて務まるわけないじゃない!」
「…でれでれ…?」
彩月はますます訳がわからなかったのだが、真弘の方は今ので察しがついたようで、突然はっと顔を上げ猛然と立ち上がった。
「フィオナ先生のことか!」
「あー、そいうことなのね…」
「拓磨おまえ!あんな美人を独占しようとはどういう了見だ!ぶっ殺す!」
言うが早いか、真弘は拓磨に向かって拳を振り上げる。しかし、拓磨はその向かい来る拳を迷惑顔で軽く受け止めた。
「そんなんじゃないっすよ!」
「じゃあなんで真面目に授業受けてたんだよ」
「だから、真面目に授業受けるのは普通でしょう!」
「…真面目に授業受けるのが普通に思われないんだね、拓磨」
「おい、彩月!そんなかわいそうなものを見る目で俺を見るな!」
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