水縹色の氷花

□玉依姫と守護者
1ページ/4ページ



今日も今日とて昼休みの屋上。
祐一は用事があるらしく今日は来ていないので、今は彩月と真弘の二人だけしかいなかった。


「で?姫様には会えたのか?」

「え、会ってないよ?だって放課後に集まるんでしょ?」

「てっきりおまえのことだから、教室に押しかけて先に会ってるかと思ったんだけどなー」

「う…」


彩月は言葉に詰まった。実をいうと、休み時間気になって隣の教室をのぞきに行った。だがしかし、タイミング悪く拓磨に見つかり、

『放課後って言ったろ!どうせここじゃ自己紹介もできないだろうが』

と、軽いお叱りをいただいていたのだった。
まぁ言ったら確実に真弘に笑われるので、彩月は何も言わなかった。


「なんだよ、だまっちまって」

「い…いや…」


ガチャ
ちょうどそのとき、屋上のドアを開ける音がした。


(誰か来た…?)


「すごく景色いいね!」

「…おまえ、さっきまでの不機嫌はどこにいったんだよ」


彩月たちの耳に入ってきたのは、知らない女の子の声と、聞きなれた男の子の声。屋上の入り口の屋根の上から下をのぞきこんでみると、男の子の方はやはり知り合いだった。


「…なんだ?バカっぽいのが二人来たな」


真弘があきれたようにそんなことをのたまった。


「もう、拓磨はともかく女の子の方には失礼だよ」

「俺はともかくって…あのな」


拓磨は顔をしかめて彩月たちのいる場所を見上げた。隣の女の子はといえば、とても驚いた顔をして同じく見上げている。


「んで?そっちの女が姫様か?それっぽくねぇなぁ」

「だから失礼でしょ…って、え?姫様?」

「あぁ、そうらしいな」


拓磨はあっさりとそう返してきた。



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ