水縹色の氷花
□玉依姫と守護者
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今日も今日とて昼休みの屋上。
祐一は用事があるらしく今日は来ていないので、今は彩月と真弘の二人だけしかいなかった。
「で?姫様には会えたのか?」
「え、会ってないよ?だって放課後に集まるんでしょ?」
「てっきりおまえのことだから、教室に押しかけて先に会ってるかと思ったんだけどなー」
「う…」
彩月は言葉に詰まった。実をいうと、休み時間気になって隣の教室をのぞきに行った。だがしかし、タイミング悪く拓磨に見つかり、
『放課後って言ったろ!どうせここじゃ自己紹介もできないだろうが』
と、軽いお叱りをいただいていたのだった。
まぁ言ったら確実に真弘に笑われるので、彩月は何も言わなかった。
「なんだよ、だまっちまって」
「い…いや…」
ガチャ
ちょうどそのとき、屋上のドアを開ける音がした。
(誰か来た…?)
「すごく景色いいね!」
「…おまえ、さっきまでの不機嫌はどこにいったんだよ」
彩月たちの耳に入ってきたのは、知らない女の子の声と、聞きなれた男の子の声。屋上の入り口の屋根の上から下をのぞきこんでみると、男の子の方はやはり知り合いだった。
「…なんだ?バカっぽいのが二人来たな」
真弘があきれたようにそんなことをのたまった。
「もう、拓磨はともかく女の子の方には失礼だよ」
「俺はともかくって…あのな」
拓磨は顔をしかめて彩月たちのいる場所を見上げた。隣の女の子はといえば、とても驚いた顔をして同じく見上げている。
「んで?そっちの女が姫様か?それっぽくねぇなぁ」
「だから失礼でしょ…って、え?姫様?」
「あぁ、そうらしいな」
拓磨はあっさりとそう返してきた。
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