Heroic Legend -終章の白-

□次巻予告
2ページ/3ページ





「旅に出ようッ!!」


そう言って、彼は俺の首根っこを掴んで外に飛び出した。

「ちょ…待てレッド!? 俺まだ返事して……」

「答えは聞いてない☆」

「聞けぇぇぇッ!!」

茶髪を揺らし、琥珀のような目をウィンクさせるレッド。

一見何処にでもいる普通の少年のように見えるが、コイツの『思ったら即行動』する力は侮ったら恐ろしい……より、逆に言えばただの考え無しである。

「ほら、オレ達もう10歳だよ? トレーナーの資格を貰ったんだよ?
名前忘れちゃったけど、去年は近所の一歳上の女の子だってマサラを旅立ったし、オレ達が旅立つのは今でしょ!」

「今でしょ! じゃないっ! だいたい肝心のポケモンがいないのに、どうやって旅に出るんだ?」

ようやく首根っこからレッドの手を叩き落とし、俺はその場で立ち止まる。


やれやれ…栄養が脳まで行かなかったせいか、とんでもない馬鹿力だ。

「そっか…まずはポケモンだな!」


「……おい、何処行くんだレッドさんよ」

マサラタウンの外れにある草むらを目指し、レッドが走り出すのをスライディングで阻止する。

「いてて…だってポケモン捕まえに行くんだろ?」

「ボールと! 一緒に戦うポケモン! 必須だろっ!」

「あ、そっか」

「……先が思いやられるよ…」

頭を抱え、俺は苦々しい表情で唸った。

それもすぐに止めると、レッドの手を引っ張る。

「まずはオーキド博士の所。そう言えば今日、お前も博士んトコのグリーンも一応居候の俺も…みんな呼ばれてただろ?」

「うん」

「さぁ、早く研究所に行こう。きっとポケモンくれる筈だ」

「うん!」

ニコニコと笑顔で笑うレッド。

同年代なのにまるで母親みたいな気分だ。


家族どころか自分の名前すら全然覚えていないのに、何だか懐かしい気がするのは何故なんだ…。


「はぁ…平和に旅したい…」

「だね!」

「お前が言うな!」


小さいけど平和な町、マサラタウン。



向こう見ずで無鉄砲なレッド。

基本的には平和主義で争いを好まない俺、ブルー。


結構正反対なオレ達二人。

今日、旅に出る。







「…ところで、旅の準備は万全か?」

「うーん…何も準備してないや、アハハ!」

「……ウッ…」

「泣くなよ、ブルー」


…先行き不安過ぎて、マサラに引きこもりたい。




〔To Be Continued…?〕
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ