Heroic Legend -終章の白-
□次巻予告
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「旅に出ようッ!!」
そう言って、彼は俺の首根っこを掴んで外に飛び出した。
「ちょ…待てレッド!? 俺まだ返事して……」
「答えは聞いてない☆」
「聞けぇぇぇッ!!」
茶髪を揺らし、琥珀のような目をウィンクさせるレッド。
一見何処にでもいる普通の少年のように見えるが、コイツの『思ったら即行動』する力は侮ったら恐ろしい……より、逆に言えばただの考え無しである。
「ほら、オレ達もう10歳だよ? トレーナーの資格を貰ったんだよ?
名前忘れちゃったけど、去年は近所の一歳上の女の子だってマサラを旅立ったし、オレ達が旅立つのは今でしょ!」
「今でしょ! じゃないっ! だいたい肝心のポケモンがいないのに、どうやって旅に出るんだ?」
ようやく首根っこからレッドの手を叩き落とし、俺はその場で立ち止まる。
やれやれ…栄養が脳まで行かなかったせいか、とんでもない馬鹿力だ。
「そっか…まずはポケモンだな!」
「……おい、何処行くんだレッドさんよ」
マサラタウンの外れにある草むらを目指し、レッドが走り出すのをスライディングで阻止する。
「いてて…だってポケモン捕まえに行くんだろ?」
「ボールと! 一緒に戦うポケモン! 必須だろっ!」
「あ、そっか」
「……先が思いやられるよ…」
頭を抱え、俺は苦々しい表情で唸った。
それもすぐに止めると、レッドの手を引っ張る。
「まずはオーキド博士の所。そう言えば今日、お前も博士んトコのグリーンも一応居候の俺も…みんな呼ばれてただろ?」
「うん」
「さぁ、早く研究所に行こう。きっとポケモンくれる筈だ」
「うん!」
ニコニコと笑顔で笑うレッド。
同年代なのにまるで母親みたいな気分だ。
家族どころか自分の名前すら全然覚えていないのに、何だか懐かしい気がするのは何故なんだ…。
「はぁ…平和に旅したい…」
「だね!」
「お前が言うな!」
小さいけど平和な町、マサラタウン。
向こう見ずで無鉄砲なレッド。
基本的には平和主義で争いを好まない俺、ブルー。
結構正反対なオレ達二人。
今日、旅に出る。
「…ところで、旅の準備は万全か?」
「うーん…何も準備してないや、アハハ!」
「……ウッ…」
「泣くなよ、ブルー」
…先行き不安過ぎて、マサラに引きこもりたい。
〔To Be Continued…?〕