Heroic Legend -終章の白-

□最終話 変わる世界
2ページ/17ページ

世界は相変わらず平和だった。

人間とポケモンが共存する世界。


そんな当たり前だと思っていた人々の思想にプラズマ団による一件が大きな波紋を呼び、世間では未だ人間とポケモンとの対等な関係というテーマを掲げて議論する者も多く、その答えは今も出ないまま。


その根本的な因果を作り出したプラズマ団の本拠地である城は、事件の時に崩壊した。

本拠地が消滅した事で組織は瓦解。

大多数の団員は今もイッシュ内でひっそりと暮らしたり、またはプラズマ団復活の機会を窺っていたり、あるいはこの期を境に脱退する者も少なくはなく、プラズマ団に対する世間の恐怖心や怒りからの疑心暗鬼は、この約2年でようやく落ち着きを取り戻し始めたのだった。


崩落から数日後。


崩落した城への様々な調査が行われた際に発見された奇妙な古代機械。

瓦礫に埋もれても、壊れるどころか傷一つ見当たらないその結晶の塊のような機械は長い調査期間を掛けて、ようやく『竜脈』と呼ばれる地脈エネルギーの場の出力を安定させる為に造られた機械である事が解明され、それらは考古学的にも世紀の大発見として大きく取り上げられた。

が、その後の安全面や起動の仕方は全く不明で、現在はポケモンリーグや協会が管理する形となって引き続き調査が続けられているが、その詳しい調査結果は未だ得られていないという…。

そして古代機械発見当時に、機械の傍には大量の血痕らしきものも発見されたが、その血の持ち主の遺体とされるものは右足首であろう肉片のみしか見つかっていない。


その肉片を鑑定した結果…持ち主が判明されたが、右足首のみしか発見されていない為、彼女が生きているのか死んでいるのかまでは分からなかった。

…何故ならその遺体と思われる身体は何処にも無く、まるで神隠しのように消えてしまっていたのだから。



『死亡説』と『生存説』

そのニュースが広まった世間では、イッシュを救った英雄の生死を面白おかしく、はたまた真剣に語るのもしばらくの間は話題に上った。




結果的にプラズマ団のという組織は瓦解したものの、事件の首謀者であるとされるプラズマ団の王、及び七賢人の行方も行方不明のまま。

遠い地方では白いドラゴンポケモンを連れた青年が目撃されたとか…そんな噂もあるがその真相は定かではない。


そしてもう一人の英雄の行方も、その生死も、周囲の人間や彼女の肉親達ですらも知る者はいなかった…。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ