Heroic Legend -終章の白-

□第102話 飛翔、そして…
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ガギン――――ッ!!



もう何回、爪や尻尾を交えただろうか。

それだけジャルルとゾロアークの力は拮抗していた。

「つじぎり!」

「とぐろを巻く!」

何度目かの防御で、またもやジャルルの身体にゾロアークの爪が走る。

それでもジャルルは歯を食い縛りながら、ゾロアークに食らいついていく。

減らされていく体力を保たせるために、何とか隙を突いて《ギガドレイン》で奪いつつ《リーフブレード》で決めに掛かるが、鍔迫り合い以外では掠りもしない。


「ナイトバースト!」

ゾロアークの必殺技《ナイトバースト》が放たれると、こちらは《グラスミキサー》で対抗するが、威力を半減させるので精一杯だ。

最終的にはその黒いオーラに身体ごと吹っ飛ばされる。


2回程、その巻き添えを食らった時は流石に死ぬかと思った。

それ程、彼の力は強大だった。


…それだけじゃない。

ゾロアークは相手の攻撃をかわしながら《悪だくみ》で特攻をぐんと上げているのだ。

アックスの時も、ヤイバの時も、ガルダの時も…。


「グラスミキサー!」

ジャルルが木の葉を巻き上げる風の渦を生み出して尻尾で勢いをつけてやるが、またしてもゾロアークは悠々と避ける。

【何でや、当たらへん…!?】

「確かに。ゾロアークのスピードはジャルルでも対応しきれるのに…」


こんな時、手元に図鑑があれば…!



「図鑑が無くては技の事すら調べられないのかい?」

「う…!」

表情で読まれたのか、Nにズバリと言い当てられた。

「キミはポケモンと話せてもカレらの事は何も知らないし知ろうともしない。カレらはボクに様々な事を教えてくれたよ。
どういう間合いで戦うか…どの技を出せば効果的か…」

「つまり、図鑑を使ってるボクが未熟だって言いたいのか?」

「そうだよ」

即答で返された時、思わずイラッときてしまった。

「キミはポケモンよりも"ポケモン図鑑"の情報から知識を得たつもりでいるだけだ」

「つもり…だと?」

「それはポケモンの声を聞かない愚かな行為。だからキミはボク達には勝てな…」

「【触ってもないのに、分かったような口を利くなッ!】」

Nの言葉を遮り、ボクは何故かジャルルと同時に怒鳴った。

「図鑑で知識を得たつもり? その図鑑を作った人は、本当にポケモンが好きで…もっと仲良く近しい存在になりたいから作ったんじゃないのか!?」
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