Heroic Legend -終章の白-
□第101話 最後の戦い
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見た目は綺麗な城でも、それがポケモンだけを馬車馬のごとく労働を強いて造られたものと聞けば、複雑な思いを抱く。
プラズマ団の中には本当にポケモンを大切に思う奴もいれば、Nの嫌いなポケモンを道具扱いをする奴だっていた。
それを何故Nが知らなかったかと聞かれたら、今ならその理由が分かる。
国の王は国民にとって絶対的な存在。
逆に言うと王を手中に収める事ができれば、それを絶対視する者もおのずとその者をも絶対視するようになる。
ゲーチスはまさにそんな存在。
自ら頂点に立たず、Nという絶対的な存在を盾にも剣にも変化させて使いこなす。
奴はそんな男。本当に嫌な男だ。
「あった、謁見の間…!」
階段を上がり、少し進んだ先に一際大きな扉を見つけた。
その壁際にはプラズマ団の旗が立てられている。
「ジャルル、一旦ボールの中へ」
上手く行けば、このままNと戦う事になる。
ジャルルをボールに戻し、ダークストーンを抱え直してから駆け足で謁見の間へと急ぐ。
その時、扉が重々しい音と共に開いた。
「おぉ…!?」
近くまで進み、そこで止まる。
部屋からは長身の男が現れた。
Nよりも少し大きい、くすんだ緑の髪に奇抜かつ不気味な風貌。
右目にはステンドグラスのモノクル。
「ゲーチス…」
ボクはその男の名を口にした。
少しして…「おや、アナタでしたか」と今更ながらの返事が返ってくる。
「ようこそ。ダークストーンを持つ者よ」
「…やっと辿り着いた。他の七賢人のせいでエラく時間食ったけど…」
「それはワタクシの預かり知らぬ所です」
飄々とした笑みで言ってのけるゲーチス。
「このポケモンリーグを包み隠すように出現した城は、イッシュが変わる事を意味するシンボル…」
いつものようにマントを翻しながら、芝居がかった動きで話し始める。
「その城の王は伝説のポケモンを従え、チャンピオンを超えた最強のトレーナー!
しかも、世界を良くしたいという熱い思いを胸に秘めている! これを英雄と呼ばずして、誰を英雄と呼ぶのです?」
「……自分でその英雄を作り上げておきながら…ッ」
「ダークトリニティを通じて、アナタが女神達から余計な事を吹き込まれたのは分かっていますよ」
ですが! しかし! とゲーチスは更に声高に拳を握り締めた。
「アナタがここへ来ても、全くの無意味という事!」