Heroic Legend -終章の白-

□第101話 最後の戦い
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―――――――――……



「チャンピオン、しっかりして下さい」

チェレンがアデクの身体を揺すると、そこから呻き声が聞こえてきた。

「おぉ…お前か…」

「……アデクさん、ボロボロですね。チャンピオンらしくないですよ」

「フ…開口一番にキツいセリフだな……」

瓦礫にもたれ掛かるような体勢でいたアデクが、弱々しい笑みをチェレンに向ける。

「お前もよくここまで来れたな…」

「…自分のやる事が分かったから強くなれたんです。と言っても、ポケモンと一緒でなければ到底辿り着けませんでしたけど」


「……やるではないか」

アデクはすぐに沈んだような表情をすると、ポケモンリーグを囲む城……その最上階らしき場所を見上げた。


「…負けたわ。途方もない夢を語る、煩い小僧を黙らせる程のポケモンとの絆を見せてやる筈……だったがな…。
奴の信念もまた、本物だったということか…」

「…今、皆から連絡が。フォリアが無事に合流できたそうで、ダークストーンを受け取ってNの所へ向かっている…って」

「…そうか」

突然、アデクがよろよろと立ち上がった。

「アデクさん、まだ動いちゃ…!」

「たわけ、儂を年寄り扱いするな」

「……はぁ、分かりました」

チェレンも溜め息混じりに立ち上がる。


「…フォリア達の所に行くんですよね? 僕も行きます」

「……向こうは激戦区だぞ、良いのか?」

「だから行くんです」

チェレンが強く出ると、それを後押しするかのように彼のエンブオーがボールから現れる。

【オレに任せろ!】とファイティングポーズでチェレンにアピールをすると、彼は「分かったよ」と笑みを浮かべた。

「エンブオーも一緒に行きたいと言っているようなので。それに、フラフラのチャンピオンが一人で城に行くのは危険ですから」

「…言ってくれるな…」

チェレンとエンブオーにつられ、自然とアデクの顔にも笑顔が戻っていた。















いくら敵地とはいえ、プラズマ団の城の中はとても綺麗だった。

地下水からふんだんに水を汲み上げ、それが通路の至る所に水路として流れ、床も磨き上げられた美しい石が使われている。

壁には松明やらプラズマ団の旗が掲げられ、まさに映画などでよく見る中世の城そのものだった。


下で戦いになる前にプラズマ団から聞いた話だが、この城は十数年前から奪ったポケモン達を使って建造されたらしい。
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