Heroic Legend -終章の白-

□第98話 北西の四天王・勝負師ギーマ
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「はぁ…」

【…】

「はぁぁ……」

【うっさい! 朝から辛気臭いわ!】

「どーしても、ギーマさんと戦うのは今日なのぉ…?」

【当たり前やろボケ!】


翌朝。

ボクはジャルルに引きずられながら会場に向かっていた。

【フォリアは悔しくないんか!? あんなキザ男にドヤ顔決められて言いたい放題言われんのは!】

「そりゃあ良い気分じゃなかったけどさ、ギーマさんはボク達よりも年上でボク達が見てきたものよりもずっと多くの事を見聞きしてたみたいだし…」

【そぉんなの関係あらへんッ!】


バシッ!

ジャルルの尻尾ビンタが飛んできた。痛い。

【何が何でも戦うんはいつや? 今やろ!】

「そのネタはいいよ…」

【黙りや! とにかく今日はあのキザ男のポケモンをボコボコにしたるんや!】

【文句は言わせへん!】と語気を荒くして、ジャルルはボクを引きずったまま会場へと入って行った。





















会場からバトルフィールドに入り、いつものように四天王の顔写真が映ったタッチパネルを渡される。

ジャルルのギラギラとした視線を浴びながら、ボクは渋々ギーマさんの顔写真をタッチすると、これまたいつも通りに会場の照明が消える。


暗闇から聞こえた数分の騒音が止んだ時、薄暗く照明が点灯された。

そこはまるで立派な大舞台のようなバトルフィールドだった。

殺伐とした雰囲気でありながらも、挑戦者が立つ場所にはレッドカーペットが敷かれ、モノクロタイルのフィールドの四隅には大きめのキャンドルが立っている。


「やぁ、今日は逃げずに来たようだね」

その軽い口調でありながら優雅に颯爽と登場したのは、四天王のギーマさん。

黄色のビロード生地のマフラーをなびかせ、相変わらず足元は石田○一ファッションで決めている。

「…」

けど、ボクは今は笑う余裕なんてなかった。

むしろ、この場が逃げ出したい……と、頭の片隅にそんな思いさえ抱いている程だ。


そんな低テンションなボクとは比べものにならない程、会場は大いに盛り上がっていた。

『三度目の四天王戦となるフォリア選手が選択したのは、北西の四天王・悪タイプ使いのギーマだぁ!』

実況の熱ある声に、観客は相変わらず大盛り上がり。

それに混じって、「ギーマ様ぁ!」と黄色い声まで聞こえてくる。


…ギーマさん、とりあえず顔は良いもんね……顔は。
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