Heroic Legend -終章の白-
□第96話 南西の四天王・小説家シキミ
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このポケモンリーグに四人の強者在り。
〔南西にゴーストの本質を知る者在り〕
南東に格闘を使いこなす者在り
北西に悪タイプを極めた者在り
北東にエスパーを知り尽くす者在り
勇気と知恵で以て強者を打ち破りし時、最強のトレーナー、チャンピオンが待つ頂に導かれん―――――…。
†
『イッシュリーグもいよいよ大詰め! 本戦トーナメントを勝ち抜いたN選手、本日の四天王戦も殆どゾロアークのみで強力な強者達を次々と打ち倒していきました!
一体、彼は何者なのでしょうか? そして明日から行われるフォリア選手と四天王の戦いは、どの様な戦いとなるのでしょうか?』
プツン…っ。
大いに盛り上がるTV番組『イッシュリーグ完全生中継』の途中で画面を切り、ボクはリモコンをベッドに放り投げてゴロリと横になった。
「はぁ…N選手は余裕綽々と殆どゾロアークだけで四天王を撃破……か」
【無論、拙者らもそれに続くのだな】
【当たり前や! Nのゾロアークはウチが倒すっ!】
【…せいぜい火炎放射で返り討ちに合わないようにな】
「…って、何呑気にババ抜きしてんの!?」
トレーナーがシリアスにベッドに横たわって考え事をしているのにも関わらず、ボクの手持ち達はシュールに輪になってトランプに夢中になっていた。
ガルダも器用に翼と脚を使って、カードを並べたりめくったりしている。
【いや、何かソワソワして眠れないじゃん?】
「遠足前日の小学生かよ」
液体で出来た腕にトランプを任せ、ランプルはクルリとこちらを振り返る。
【何か分かるよ、ランプル先輩の気持ち】
【そう? 流石アックスね】
【うむ、何だか拙者も気持ちが高ぶって少々眠れない…】
【せやな、皆緊張したり興奮したりと楽しみなんやな】
ジョーカーをシャッフルして、ジャルルがブリッツに裏側のカードを見せる。
【そうそう。確かにN達は凄いけど、オイラ達も負けてない………って、ウワー…ジョーカーだ…】
見事にジャルルにジョーカーを掴まされたブリッツは、嫌そうにカードをシャッフルする。
【だから、フォリアもそう深く悩むな。オレ達やお前の力を信じていつも通り戦えば……ジョーカー…だと…】
さっきから格好良いセリフを言っているのだろうけど、連続して渡り歩いているジョーカーのお陰で、幾分か台無しな気がする。
でも、ポケモン達の言う事は正しい。