Heroic Legend -終章の白-
□第94話 イッシュリーグ開幕
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「……はい、これで出場登録は終了です」
「ありがとうございます」
受付のジョーイさんから返されたトレーナーカードとバッジケースを受け取り、ショルダータイプのカバンにしまう。
「あと、リーグ開催中に滞在される宿泊施設の部屋の鍵と、今大会の対戦相手の情報や大会スケジュールなどが全て記載されているタッチパネル式携帯端末、通称『ジャーマネ君』をお貸しします」
「ジャーマネ君って何処の業界用語ですか…」
「くれぐれも無くさないようにお願いしますね☆」
ボクのツッコミを見事にスルーしたジョーイさんは、部屋の鍵と今大会の対戦相手(ry でハイテクな機械『ジャーマネ君』なるものを渡す。
「宿泊施設は受付会場を出て奥の建物になっております。では、頑張って下さいね!」
爽やか営業スマイルのジョーイさんに見送られ、ボクは受付会場を後にした。
イッシュリーグの開催は丁度明日なので、辺りの人混みはかなりのものだった。
観戦客を目当てとした屋台や露店があちこちにあり、大声で観戦客を呼び込んでいる。
またボクと同じくリーグに出場するのか、開けた空き地ではポケモンの調整を行うトレーナーも何人かいた。
「おぉ…こんなに大きな大会は、何だか始まる前からワクワクしてくるね」
【せやな】
【早く狩りに…】
【行くな】
「いつもの調子で何よりだ…」
ボールから聞こえるやり取りに苦笑いをしながら、宿泊施設を目指して歩き続ける。
その途中で、突然背後からポンと背中を叩かれたので、誰かを確認する為に振り返る。
「あわ、あの…人違いならごめんなさい。フォリア…だよね?」
「お、もしかしてナツノ?」
「うん…凄く久し振りだね…」
金色のふわふわした髪を揺らしながら、おずおずとボクの顔を見るのは、大分前にカラクサ病院で出会ったナツノ。
ここにいるって事は、もしかして…。
「キミもリーグに?」
「そう…。ここに来れば、凄く強いポケモンや他の地方から集まったポケモン達を見られるかもって…。
でも、観客よりは参加したいって…僕のポケモン達がそう言うから、頑張ってジムを回ったんだ…」
そう言って、カバンをポンポン叩く。
「そうか…。ボクもリーグに出るから、ライバル同士だね」
「うん……負けないよ」
少し場が和やかになった時、周りから挑戦的な声が飛んできた。
「…おっと、俺達も忘れんなよ」