Heroic Legend -終章の白-
□第93話 最終試練、剣と拳
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†10番道路
「私のーお墓のーまーえでー、泣かないでぇ下さぁーいー」
【何縁起でも無い歌を歌っとるんや…】
「いや、突発的に思い付いたから…」
切り立った崖に囲まれた10番道路の厳しい道のりを歩きながら、暇潰しに歌を歌っていた。
【だったら、めざポケでも歌ったら?】
ランプルがそう提案する。
「それは旅立ちの時に歌うんだよ」
【……チャレンジャーはどうだ?】
「ガルダ、なかなか良いチョイスしてるね。んじゃ、早速……」
「…ストップ」
「温暖化……って、違う!」
突然後ろから掛かってきた声に振り返る。
「まったく。これから戦いの時だってのに、君は呑気に歌いながらリーグに行くんだね」
「チェレン…それにベルも!」
「はぁーい、フォリアっ」
振り返った先には、腕を組みながら立っているチェレンと、その横で手を振るベルがいた。
「…何でいるんですか、二人共?」
「何でって……たったさっき君が全てのバッジを集め切ったって、ソウリュウのシャガさん達に聞いたから、少し用事があって追ってきただけだよ」
「もう、チェレンったらこんな時まで…!」
クールにそう言うチェレンを横目に、ベルは溜め息をついた。
「あのね、実はフォリアが大変な思いをしてないかなぁ…って思って、それなら元気付けに行こうかってチェレンが…」
「ベ、ベルっ!」
先程までのクールな表情を崩し、大慌てでベルの口を塞ぐチェレン。
「ほぉ…つまりボクとフラグを立てに来たと?」
「言ってないッ!!」
「そこまで否定しなくてもいいじゃん」
軽い冗談を即答で否定されたので、ボクは少し頬を膨らませた。
「チェレンには既に心に決めた人がいるってのに……」
「い、いないよ、いないッ!」
「ふぇ、いるの?」
「うん、実はボクの目の前に…ふべしっ!」
ここでチェレンの拳骨が飛んできた。
「マジで痛いんだけど、チェレン!」
「君が妙な事言うからだろ!?」
「だって事実…なぼっ!」
二度目の拳骨が飛んできた。
「チェレンっ! そんなポコポコ叩いたら、フォリアの頭の形が変わっちゃうよぉ」
「あ、ごめんなさい…」
「やーい、怒られてやんのーwwwww」
「フォリアもあまりからかわないのっ」
「…すいませんでした」
久し振りに怒るベルに気圧され、綺麗な90°の角度に背中を折って謝った。