Heroic Legend -終章の白-
□第90話 意思と意志と異志と石
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「君達二人はフォリアを連れて、一旦私の家に行きなさい。道はフォリアが知っている。私はこのまま、セッカジムで博士やアデクさんと状況説明をしなければならない」
「それなら僕も…」
「…高熱を出して苦しんでいる友人を放っておくのか?」
「あ…」
チェレンはしまった、という風にボクを見る
「あぁ、ボクなら大丈夫だよ。ベルもいるし…」
「けど…」
「チェレンもリュウラセンの塔へ行ったのなら、ハチクさんと一緒に、状況を説明した方が早いと思うよ?
大丈夫、フォリアにはあたしが付いてるんだから!」
「頼もしいよ、ベル…」
ボクはそう呟き、肩を貸してくれるベルに甘える。
チェレンはボク達を交互に見ながら、少し申し訳無さそうな表情で、
「…だそうです」
と、ハチクさんに言った。
「ふむ、それなら一緒にジムへ向かうとしよう」
「すみません、ワガママを言ってしまって…」
「礼は私にではなく、君を気遣ってくれた二人に言う事だ」
ハチクさんはフッと笑いながら言い、スタスタと先に行ってしまう。
「……ありがとう」
暫くして、チェレンが少し頭を下げる。
ボクはその頭を軽く叩き、
「早く行かないと置いて行かれるぞ、メガネ」
と、軽く笑ってやった。
「メガネはもうネタにしないでくれよ」
そう笑いながらツッコんだチェレン。
ハチクさんの後を追い掛け、急いで走って行った。
†
ハチクさん達と別れ、ボクとベルは先にハチクさんの家へと向かう。
日はとっぷりと暮れ、辺りは既に真っ暗だ。
「バオくん」
ベルはボールからバオッキーを出す。
「あぁ、進化したんだね」
「うん。ぎゅーってすると、とっても温かいの!」
【いや、それ程でも…】
「バオッキー、照れてる」
「本当?」
ベルとバオッキーは、互いに嬉しそうに顔を見合わせている。
夜道をバオッキーが発する炎で照らし、ボク達はゆっくりと歩く。
「…ねぇ、フォリア」
「何だい?」
暫く何も喋らなかった時、不意にベルがボクを見る。
その表情は真剣でもあり、同時に何処か悲しそうでもあった。
「待ってるのって、結構辛いよね…」
「急にどうしたの…?」
「皆がリュウラセンの塔から帰ってくるのを待ってるのは、とっても苦しかったの。
怪我してないか、何か大変な事が起きていないか…って、とっても心配だった」