Heroic Legend -終章の白-

□第84話 険悪で挑戦
2ページ/19ページ

――――――――――…







「畜生…思い出しても腹立つぜ」

セッカシティジムに戻ってきたオレは、ジムの前をウロウロしていた。


ムカつく。イライラする。

あんなガキに、オレの能力を真っ向から否定された挙げ句、大笑いしながら馬鹿にされた。


たったそれだけ。
たったそれだけだと言うのに…。

イライラしてしょうがない。


おまけに泣いちまった。



「もう、外出歩けねーよ…」

ジムの壁に頭を付け、ズルズルと座り込む。

額は摩擦で熱く、胸は締め付けられて痛いし苦しい。


…最悪だ。

もう、このまま何処かへ行っちまおうか…。



そんな事を考えていると、上から声が降ってくる。

「どうしたのじゃ? 何処か具合でも悪いのかの?」

喋り口調は年寄りだが、声はまだ若く…幼い。

こんなオレに話し掛けてくるなんて、何て物好きなんだ。


そう思いながら、声のする方を見上げる。

「…あ」

先に声を上げたのは、オレの方。


低い身長に金髪茶目の童顔、ピンクで鈴の付いたバンダナ。
猫のような顔付きのソイツは、まだオレが誰だか分からないようで首を傾げている。

「…うん? ミハの顔に何か付いとるかの?」

「いや、何も…」

「そうかのう…って、そちらさん…何処かで見たような…」

「気のせいじゃねぇか?」

そう言って、そそくさとこの場を後にする。


…が、それは無理だった。


「あ、思い出したのじゃ! フォリアじゃないかの!?
久し振りじゃなぁ…。元気しとったか?」

「…」

「ところでどうしたのじゃ、その顔? 脱色とカラコンなのかの?
まぁ、余計な詮索はしない方がよいな。
まぁこんな所で会ったのも何かの縁じゃ、茶でも飲みに行こうではないかのう」


まったく…よく喋るガキだ。

…あ、そう言えば年上なんだっけか。

「面倒な奴に捕まったな…」

「何か言ったかの?」

「いや、何でも」

「そうか…。だったら早速出発じゃ! 良かったのじゃ、仕事を早く終わらせといて…」

「え…あ、おい…!?」













どうしてこうなった。


オレがボヤボヤしている間にいつの間にか話し掛けられ、いつの間にか引きずられ、いつの間にかこんな茶屋に来てしまった。

途中で振り払おうとはしたもの失敗に終わり、コイツが超怪力持ちなのを後で思い出した。


…本当、どうしてこうなったんだ。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ