Heroic Legend -終章の白-

□第80話 敗北
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セッカシティ。

そこは空に煌めく雪の花の名が取られ、冬は一面が銀世界となる街。

傍には湿原などの湿地帯が広がり、湿気を好む様々なポケモンが生息している。


そして、この街に古くから伝えられる二人の英雄と竜の伝説は、人々の中で静かに語られてきた。
街の北に聳える塔は、その伝説の中心となった『リュウラセンの塔』であり、伝説の竜はそこに眠っているのだと言われている。


そんな街の平和を守るのはセッカシティジム。

リーダーはかつて、大スターとまで呼ばれた有名な映画俳優。

勝負には熱く、時に冷静に挑戦者達の力量を見極める。

その氷の技は大きな壁にもなり、あるいは強力な刃となって、彼らを試そうとする。







「―――――……だって」

【『だって』…じゃないだろ。お前はここへ何しに来た? 観光か?】

「さーせん」

ここはセッカシティのポケモンセンター。

今し方休憩中だったボクの手には、『セッカ満喫! ぶらり氷旅』というタイトルの観光雑誌がある。

回復が終わったポケモン達は、それに読み耽っていたボクに説教をしに来たのだ。


「ちょっと暇だから読んでただけだよ。
さぁ、行こうか」

【何処へだ? 外はもう暗いぞ】

「…リュウラセンの塔」

【プラズマ団…か】

即答した答えに、ガルダは険しい表情になる。

【ねぇ、今の所何の動きも無いなら、明日行きましょうよ。
今日はガルダの言う通り、遅いんだし…】

「そうしたいけど、もしライトストーンが見付かった話が本当なら…!」

【まぁ、落ち着きぃや。アンタもウチらも皆疲れとる。
焦るのは分かるけど、まだレシラムが目覚めた訳や無いんやろ?】

「それは…そう、だけど…」

【せやったら、休もか。休める時に休まんとアカンで】

ジャルルは優しく諭すように言うので、ボクも渋々とそれを承諾する。



本当は一刻も早く塔へ駆け付けたい。

ライトストーンを奪還し、レシラムの目覚めを阻止したい。


…でないと、この地方はとんでも無い事になってしまう。

ザワザワと落ち着きの無い胸を擦り、とりあえずセンターにある宿泊所へと向かう。



この日は殆ど寝付けず、浅い眠りを何度か繰り返すだけだった。

そして、眠りの中で何度も見る悪夢。

それがボクを苦しめた…。
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