Heroic Legend -終章の白-

□第78話 清楚に素敵に変装します?
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チェレンとシアンは、些か引きつった笑いを浮かべてボクを見ていた。

「…フォリアには、ハチクさんの話をしない方がいいみたいだ」

「そのようだな…ハハ…」

「まぁ、君のようないい加減な人でも、一応は強いんだね」

メガネの位置を直すチェレンに、シアンは少し頬を膨らませる。

「…んだよ、それ褒めてんのか貶してるのか、どっちかにしろよ」

「どっちもだ」

チェレンはクールに言い放ち、その場から離れてネジ山へと向かおうとした。

「ちょ、ちょっと待った!」

シアンが少し慌てたように彼の服を掴む。

チェレンはそれに対し、かなり不服そうな表情で睨む。

「…何? 僕はセッカシティに…」

「だからさ。ネジ山に今行くのは止した方が良いぜ」

「んぐっ……どういう事なんだ?」

ジャルルの蔓を引き剥がし、ボクはシアンを見た。


「あぁ…あれ見ろよ。あの山の入口」

そう言って、シアンはネジ山の入口を指差す。

「何か…ヤバげじゃね?
アイツら、プラズマ団だろ?」

確かに、入口には二人のプラズマ団員がいる。

両手を後ろに組み、厳めしい顔付きで周囲を見ている。


「なーんか二日前から通行止めだったから、俺は空を飛んできたけどよ。
…セッカのポケセンで聞いた噂じゃ、古代のポケモンの化石を掘り出すとか…何とか言ってたな」

「古代の化石だって? 有り得ないよ」

チェレンは呆れ顔で溜め息をつく。

そして、ポケットから何やら紙切れを取り出してきた。


「見て」

「これって…雑誌の切り抜き…?」

「そう、丁度ネジ山特集の奴さ。これによると、"この山でポケモンの化石が発掘された事は、一度も無い"と書かれている。
…だから、この噂は誰かが流したデマだよ」

「でも、可能性はあるんだろ? まだ見付かっていないだけで…」

ボクがそう言うと、チェレンは首を横に振る。

「いいや、この山はただの鉱山だ。
長年掘っても出ないなら、今更化石なんて出る訳ないよ。
ある筈も無い可能性に想いを馳せるだけ、時間の無駄さ」

「まったく…夢の無ぇお子様だな」

「同い年に見えるような君に言われたくないな」

「おいおい、俺は16だぜ」

「なっ…年上だと…!」

シアンが言った年齢に、チェレンは眉を潜める。

その表情は、どう見ても信用しているようには見えない。


実際、ボクも同じような事を考えていた。
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