Heroic Legend -終章の白-

□第78話 清楚に素敵に変装します?
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「いやー、助かったぜ」

頭に包帯を巻いたシアンが、ニコニコと礼を言う。

「そもそも、キミは何でこんな所にいるんだ?
それに、ライカも一緒じゃないの?」

ボクはキョロキョロと辺りを見渡し、シアンに質問をした。

その質問に、彼女はあっさりとこう答える。


「あぁ、今別行動なんだよ」

「別行動?」

「お前の手紙を読んでから、一人でジム巡ってくる…とか言ってさ。
アイツはアイツなりに、自分にできる事をしたいんだろうな……感心感心」

腕を組み、シアンは何度も頷きながら言った。


それはそれで良いのかもしれないが、まだ彼女がここにいる理由を聞いていない。

ボク達の言いたい事が表情で伝わったのか、シアンは「あぁ…」と思い出したように手を叩く。


「…んで、俺が何でここにいるかって話だろ?
それはな、ちょっとソウリュウシティへ行って、ドラゴンマスターのジムリーダーと戦ってきたからだ」

「ソウリュウシティ?」

「イッシュで一番強いジムがある街だ。
おまけに、歴史ある古い伝説が語られているんだって」

ボクの疑問形な呟きに、チェレンは真面目に答える。

「…ここにいるって事は、倒したのか…ジムリーダーを?」

「ったり前じゃねーか。だからセッカ経由でここまで来たんじゃ…」

「ソウリュウのジムリーダーはドラゴン使いか…。
なら、セッカのジムリーダーは何を使ってくるんだ?」

シアンの言葉を途中で止め、チェレンが些か興奮したように尋ねてくる。

「あん…? セッカのジムリーダーはそういえば…ヤナギのジジィと同じ、氷タイプだったな…。
名前は確か………ハチク…」

「ハチクだってぇぇぇッ?!!」

今度、大きく声を上げたのはボクだった。

目を見開き、胸に溢れてくる高ぶった感情を抑えもせず、早口に話し始める。

「ハチクって、あのハチクさんだよね?!
世界的に有名な映画、氷の三部作と呼ばれる『凍れツンベアー』『氷への道』『氷の鉄拳』にスタント無しで出演し、世界から認められる大スターとなった、あの超有名アクション俳優のハチクさんだよね!
あの人は格闘家では無いけど、ボクがレンブさん以上に尊敬しているお方なんだよね…。
特に、あの流れるような技捌きはボクの護身術にも取り込まれ…」

【はいはい、話が逸れるから黙ってよーな】

「モゴゴゴ…モガ…」

再びボールからジャルルが登場。

ボクの熱弁は強制的にログアウト。
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