Heroic Legend -終章の白-

□第77話 揺らぐ価値観
3ページ/12ページ

ボクまでブルーモードになったら、何の解決にもならない。

トレーナーとして…仲間として、何とかブリッツの自信を取り戻さなければ…。


…とは言え、ボクが知っているのはポケモンの名前やタイプ程度の知識だけ。

彼らの生態は図鑑程度の説明しか分からない。

こういう関係の知識はアララギ博士か、チェレンの得意分野だろう。


しかし、当の二人の行方は知る筈もない。

「はぁ…」

頭に手を当て、溜め息をついた。


「どっかにチェレンか博士でも落ちてないかな…」

「人をドロップアイテムみたいに言わないでくれよ」

「…なんだ、チェレンか……って、いたぁぁぁッ!」

ネジ山の麓(ふもと)周辺の草むらから、ガサリ…とチェレンが現れる。

何かを探していたのか、髪や服に土や草が付いていた。


いや、今はそんな事はどうでもいい。

「神様、ありがとう!
お陰で『歩くポケモン知恵袋』のチェレンに会えましたよ!」

「僕を何だと思ってるの!?」

「まぁまぁ、細かい事は気にしない」


とりあえず、ボクはフキヨセジムでの戦いの事を話した。

バッジを見せつつ、身振り手振りを加えながら話す。




「…そうか、君もジェットバッジをねぇ…」

「『君も』…って事は、チェレンも?」

「当然だ。まぁ、少し手間取ったけど」

ボクと同じ、6個のバッジが収められたケースを見せながら言うチェレン。

「…で、問題がブリッツの火炎放射が出なかった事?」

「うん。同じエンブオーが手持ちにいるキミなら、何か分かるかと思って…」

「……何だ、そんな簡単な事か…」

チェレンはゴソゴソとポケットから何かを取り出して、ボクに投げ渡す。

受け取った物を見ると、真っ黒に焦げたような木の棒だった。


「……いらんッ!」

チェレンの顔面に叩き付けるように投げ返すと、かなり良い音がする。

「ちょっと、眼鏡割れたらどうするの!?」

「ミシェルみたいに眼鏡割りすりゃいいじゃん」

「何処のマクロスだ!」

「それ以前に、こんな棒切れで何ができるんだよ?」

落ちたそれを広い、チェレンの頭を小突きながら言う。

彼は引ったくるようにボクから棒切れを奪うと、指を指しながら説明を始めた。


「これは"木炭"という道具で、炎タイプの威力を上げるんだ。
これでも9800円するような高級品なんだぞ」

つまり、ショップで売れば4900円位で売れるのか…。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ