Heroic Legend -終章の白-

□第76話 大空のぶっ飛びガール
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※フォリア視点





白星団との戦いから一夜明けて、翌日。

アローネさんはヒョウガと共に、特総部への報告をしに戻って行った。

クロードはフキヨセを発ち、再びプラズマ団を追って旅をしている。

ネクが退院し次第、共同調査に切り替えるらしい。


それぞれが元の仕事に戻って行った頃、ボク達はと言うと…。






「な…何じゃこりゃあぁぁぁ!!」

フウロさんに挑戦しようと、フキヨセジムを訪れている。

が、このジムの内部を見て、ボクは先程の悲鳴を上げていた。


何故ならこのジム、あちらこちらに妙な大砲があるからだ。

そして、それらのせいで全く先に進めない。

「これ…どうやって行けば…」

【フォリア、何か書いてあるぞ】

ヤイバがコツコツとボールをつついて注意を促す。

彼が指摘したのは、例の大砲の下に貼ってある貼り紙だった。



〔HEI.カモン! この大砲に乗るんだ挑戦者(チャレンジャー)!
じゃなきゃ、フウロには辿り着けないYO!!
さぁ、大空の旅を楽しめYO!!〕


「うぜぇぇぇぇぇッ!!」

貼り紙を乱暴にもぎ取り、ビリビリと引き裂く。

【フォリア、何しとるんや!?】

【落ち着け! 心頭滅却、明鏡止水だッ!】

【アンタも落ち着きぃや!】

「乗ってやるよ、畜生!」

人の心を苛つかせる貼り紙を投げ捨て、ボクは殺気立ちながら大砲へと乗り込む。


この貼り紙を作った奴、絶対殴る。


…と、息巻いていたのはここまでだった。




ドォンッ!!

という爆発音と共に、宙へと投げ出されるボクの体。

「うぁぁぁぁぁッ!!?」

そのまま失速し、床へとダイブする。

何とか受け身をとって着地し、自分が飛んできた方向を見た。


そこには僅かな硝煙を上げた大砲がこちらを向いているだけ。

「こ…コロ助…じゃない、殺す気かぁぁぁッ!」

突然の出来事に呂律が回らず、胸がバクバクと大きな音を立てている。

「こ、こんなのがあったんじゃ、命がいくつあっても足りないって…」

少し落ち着いた後、大砲以外のルートでフウロさんの元へと向かおうと考える。

涙で滲んだ視界で、何とかそのルートを探そうと前を見る。


そこに大砲がまたあった。

しかも、また貼り紙が貼ってある。



〔YO.挑戦者! 初めて空を飛んだ感想はどうだい?〕

「最悪だよ。飛ぶって言うより、吹っ飛んだに近いし…」
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