Heroic Legend -終章の白-

□第74話 タワーオブヘブン
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「さて、帰るか」

関わらないように、ボクはそそくさとポケモンセンターへ戻ろうとする。

…が、どうやら神様はこんなネタイベントを見逃すなんて事はしなかった。


「あぁっ、危ないのなッ!」

先程の陽気な声とは違い、焦ったような鋭い声。

同時に冷たく、ヌメリとした腕が首に巻き付いてくるのを感じる。

「な、んだコレ!?」

確認する暇もなく、首に巻き付いていた腕がボクの腰をホールドし、身動きが取れなくなった。

そのまま足が地面から離れる。

一瞬、空を仰ぎ見た。

刹那。

次には自分の後頭部が地面にめり込んでいた。


「…」

【ぷぷ…】

ボクにジャーマンスープレックスを掛けた相手は愉快そうに笑う。

「あちゃ…遅かったのな…」

黒髪の青年は釣り竿を肩に掛けて、顔に手を当てる。

その様子が逆さに見える為、ボクは違和感を感じていた。

「プルリルがそっちに行ったから気を付けるのな…って言おうと…。
アレ、何処かで見た顔なのな…」

「それは…」

ボクの顔をよく見ようとする青年。

「よぉーく見覚えのある顔だよ…ねぇぇッ!!」

足を勢い良く振り下ろし、青年の後頭部を蹴り落とす。

「ぎゃふっ」

青年の顔面が地面にめり込んだ。


プルリルの拘束を引き剥がし、ボクはユラリと立ち上がる。

「人がせっかく"クロード何してるかな"みたいな事を考えていたのに、何呑気に釣りしてるんだよ!
仕事しろ! (国際)警察だろ!」

「…んな事言ったって、せっかくの里帰りなんだから、好きに釣りしたっていいじゃんか! ケチ」

「…プルリル、何ぼでも技掛けてもいいってさ」

【ウホ、いい男www
や ら な い かwwwww】

プルリル(青ボディなので♂)はくそみそなセリフを言いながら、クロードにプロレス技を掛けていく。

その表情は実に嬉しそうだった。

「ちょ…キャメルクラッチはキツいって! フォリア、悪い! 悪かったのな!
謝るから…アッー!」


それから数十分。

プルリルは満足げに川へと帰って行った。

後に残されたのはボクと、死体のように横たわっているクロードだけ。

「もしもし、生きてる?」

「何とか…」

【クロードざまぁwww】

エモンガがクロードのボールから飛び出し、ケラケラと指を指して笑う。

「エ…エモモォォ…」

「ドンマイ☆」

「あんたに言われると余計に腹が立つのな」

「まぁまぁ…」
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