Heroic Legend -終章の白-
□第74話 タワーオブヘブン
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※フォリア視点
洞穴を抜ければ、そこはフキヨセシティでした。
(by 神隠し)
電気石の洞穴をやっとの事で抜け、現在はポケモンセンターで休憩中のボク達。
皆で腹拵(はらごしら)えを済ませ、今日はここに宿泊する事にする。
皆は万全な状態でジム戦をしたいだろうし、何よりこの街のジムリーダーはあのフウロさんだ。
電気タイプも氷タイプも岩タイプもいない、しかも飛行が弱点、もしくは打たれ弱いメンバーが多い手持ち。
勝つのは難しいだろう。
急いては事を仕損じる。
今必要なのは休憩。
焦っても仕方無い、という事だ。
「…という訳で、おやすみな…」
【まだ夕方だぞ】
ヤイバが角でボクをつついて起こす。
「夕方は寝る時間なんだよ」
【それでは隠居の老人ではないか】
「…ランプル、催眠術カッモォーン!」
口うるさく、しつこく起こそうとしてくるヤイバを眠らせようと、ランプルに《催眠術》を頼む。
が…。
【覚えないし】
「ですよねーwww」
呆気なく撃沈。
「とにかく、ボクはジジィだろうがBBA(ババァ)だろうが、夕方に就寝するんです。眠いんです」
【分かった分かった、寝ろ】
最終的にはヤイバが折れ、乱暴に布団を被せてボクを黙らせる。
そのまま電気を消されたので、寝付きのよいボクはすぐに眠りの世界へと入場していった。
†
翌朝。
夕方に寝たお陰で、早朝に目が覚めました。
こんな時には、すかさず散歩に出るのが何気に好きだ。
ボールから出て眠る皆を起こさないように、そっと部屋を抜け出す。
外へと出ると、早朝だけにあって寒かった。
部屋着の上に上着を羽織っても寒い位だ。
「フキヨセシティか…。そういえば、クロードが里帰りしているって言ってたな…」
最後に見た時は、フウロさんにボコボコにされていたクロード。
半殺しに近い状態で里帰りをしてしまった。
あれから、彼はどうしているのだろう。
そんな事を考えていると、ボクの考えを見通していたかのようなタイミングで、向こうから陽気な声が聞こえてきた。
「フィーッシュ…フィーッシュ、フィィィッシュ!!」
「…」
物凄くそちら側へ行くのを止めたくなってきた。
というより、遠目から見れば分かる。
広いタイヤ痕の付いた滑走路。
そのフェンスを越えた近くの川で、陽気な声を上げながら釣りをする一人の青年。