Heroic Legend -終章の白-

□第72話 守護者の守る場所
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ここは電気石の洞穴。

電気を纏う特殊な鉱物でできた天然の洞窟であり、その電気や鉱物を求め、様々なポケモンが集まってくる。

電気を帯びた岩同士が反発し合って浮かび上がり、淡い青の光を発している場面は何とも幻想的だ。

故に、その光景を求めてやってくる観光客も少なくはない。

また、そこに住まうポケモンとのバトルや、捕獲の為に訪れるトレーナーもいる。


…そして、この洞穴には秘密があった。



そこは古代都市を守る者達によって守護され、数々の探検家や考古学者達を近付けさせなかった、神秘なる聖域が存在する。

かつて王に忠誠を誓った言葉を胸に抱き、いつか訪れるであろう…英雄の帰りを待ちわびながら。













※フォリア視点



「…何でこうなるんだよ」

電気石の洞穴に近付くと、例の頭痛が再び起こった。

けれども、昨日よりは酷くなかったので構わず先へと進む事にして、早めに抜けようと洞穴の中へと入る。



そこまでは順調だった。
そこまでは順調だった。

大事な事なので二回言いました(キリッ


…なんてふざけている場合ではない。



「あのー…ちゃんと大人しく付いて行くんで、黙ったままナイフをちらつかせるのは止めて下さい。
本当、冗談抜きで怖いんだけど…」


入り口に入った瞬間、白髪で黒服の男が二人現れた。

かなり見知った人物だったので後退りしようとしたら、後方にももう一人現れた。

しかも、片手に"ナイフ"を持って。


本能でヤバいと感じる。

抵抗したら殺される、と。

実際、この男達はそんな事を平気でやってのけるような身のこなしと技術を持っていた。


一般人(自分ではそう思っている)のボクが、ただの護身術でどうこうできる相手ではない。



「………来い」

一人がボクに命令した。

ボクは素直にそれに従う。
誰しも命は惜しいからね。

そして、今に至る。





「ねぇ、まだ着かないんですか?」

「…」

男の一人に向かって話し掛けるが、誰一人として喋る者はいない。

それが彼らなのだ。

常に主君に付き従い、沈黙したまま命令に従う"影"のような存在。

闇の中で生きてきた、ダークトリニティなのだ。


(…とは言え、誰か喋れよ。
沈黙し過ぎて、逆に怖い)

ハァ…と溜め息をつき、青く光る洞穴を進んでいく。


すると、その先に一人の人物が立っていた。
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