Heroic Legend -間章の灰-

□第63話 真-マコト-の声
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【キャハハハハハハ、キャハハハハハハッ!】


「あぁ…ッ」

ポケモンとボクにしか聞こえない声で、サザンドラは歪んだ笑い声を上げる。

それを聞いて、恐怖以外のものを感じる事はできなかった。



「さぁ、暴れろ! 壊せ! 燃やし尽くせぇッ!
皆、皆消し飛ばしなぁぁッ!!」

両手を広げ、ノワールは大声で喚く。

「煽るんじゃねぇよ、バカ野郎がっ!
フォリア、あのサザンドラを押さえ……おい、聞いているのか?!」



ネクが何かを言っているのが聞こえる。

でも、ボクにはあのサザンドラの声が強烈過ぎる。


子供でも大人でもなく。

男でも女でもない。

今まで聞いたポケモンの声の中でも、これは初めてだ。

不協和音にも似た笑い声で、激しい頭痛と目眩が起こる。


とうとう耐えきれずに、頭を抱えて座り込んだ。




怖い。

コワい。

コワイ。


あまりの恐怖に吐きそうだ…!

周りを見ると、ランプル達も同じような表情で縮こまっている。


【キャハハハァッ! アハハハハ!
アハ、アハ、アハハ!】

サザンドラは三つの頭から『破壊光線』を出しながら、辺りの岩や木々を消し飛ばしていく。

そして、あの笑い声を響かせ、辺りに隠れていた野生のポケモン達まで怯えさせている。


「フォリア、しっかりしろ!
奴を止めるぞ!」

ネクが走ってきて、ボクの肩を掴んで揺さぶる。

「やだ…嫌だ…」

自分でも情けない声が口から零れた。

「何言っているんだよ?!
このままじゃ列車内のポケモンだけじゃなく、近隣に住む人やポケモン達だって危険な目に遭うんだぞッ!」

「駄目だ……怖くて…力が入らないんだ……。
…笑ってる、笑ってるんだよ…あのポケモン…」

「…っ」

ネクは悔しそうに眉を寄せるが、すぐにジヘッドとチルタリスを呼んだ。

「お前ら、少しコイツらを見ていてくれ」

【ネク…何処行くの!?】

チルタリスが引き止めるようにくっ付くが、ネクは首を振って言う。

「お前達は体力を消耗しきっている。
羽休めができても時間が掛かるし、今はフォリアの具合も悪い。
…すぐ戻るから、待ってろよ」

柔らかく笑ってから二体の頭を優しく撫でると、ボールから新たに二体のポケモンを出す。

一体は紫色の炎が特徴的なゴーストポケモン、シャンデラ。
もう一体は暗い紫色で魔女の姿をしたようなポケモンだ。
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