Heroic Legend -間章の灰-
□第62話 仲間と誓いし復讐劇
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【確か…一番手こずったのは、チルタリスを連れたガキだったな…】
バルジーナも思い出に耽るように、視線を上に上げる。
「そうだ。俺はまだチビ助のチルットだったコイツを連れ、親のチルタリスと一緒に最高のステージをコイツに見せるつもりだった。
…なのに、コイツに見せたものは…!」
「うんうん、バルジーナが偶然舞台裏を攻撃したらソイツがいて、アンタはソイツを庇い…親はアンタと子供を庇って、自ら攻撃の的になったんだっけ?」
平然と述べるノワールに、他人であるボク達ですら怒りが込み上げてくる。
【…お母さん、私とネクを庇って、お前の攻撃を受けて死んだんだっ!】
チルタリスがバルジーナに向かって吼える。
しかし、彼女は気にもしない様子で鼻を鳴らした。
【弱い癖に、一丁前にアタシに敵討ちか?
笑わせるんじゃないよ!】
【な…っ!】
「しかし、今思えば残念だったねぇ。
あのチルタリス、リストの中でも結構上玉だったのに、国際警察がバッドタイミングで乗り込んで来るんだもん。
どさくさに紛れて死骸を持ってくりゃ良かったかな…?
そしたら剥製にしても売れるし…」
「うるせぇぇぇっ!
アイツの死を……これ以上汚させてたまるかよッ!!」
凄まじい迫力でノワールに吼えるネク。
目からは涙が溢れているが、そこから『復讐』の二文字は消えていない。
「あーぁ、はいはい、うるさいうるさい。
吼えるなら動物園で頼むよ」
「死ね、ノワールっ!」
「はぁ? 大人に向かって死ねって何だよ?!」
「いや、お前は生きる価値の無い屑だっ!」
ボクもたまらずに叫ぶ。
「あら? アンタがここにいるって事は、シルヴィンを倒したのかい?」
「あぁ、また肋骨を折られたけどね」
メタモンに罪は無い…という意味で、コルセットを触る。
「そりゃ良かった。アンタからも言って、このガキを黙らせてくれよ。
ほら、よくマンガで言うセリフだよ…」
暫く考えるような仕草の後、思い出したような表情をするノワール。
「親の仇とかで復讐に燃える主人公に、ヒロインや友人が言うセリフであるじゃん。
『止めてよ! 復讐なんてしたって誰も喜ばないわ。
そんな事したって、あなたに何が残るって言うの? 何が変わるって言うの?
復讐に生きるなんて、馬鹿らしい事は止めてぇぇ!』
…ってね!」
上高な声で棒読みなセリフを唱え、ノワールはボクを見た。