Heroic Legend -間章の灰-
□第61話 VS 黒星団
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「できるもんならね。
アタシはイヴェールのように頭(ここ)じゃなく、力(こっち)で捻り潰す方が好きなんだよ!」
ノワールが自分の頭を軽く指でつついてから、ボールを構える。
「博物館の時みたいに、甘っちょろくいくなんて…考えない事だね!
今回は本気で戦るからさ!」
ボールを宙へ放り投げると、バルジーナが翼を広げながら登場する。
「せいぜい死なないように頑張る事だね…。
行け、アンタ達! 自分の持てる全てを使ってでも、コイツらを捻り潰すんだよっ!」
ノワールの合図で、黒星団は一斉に動き出した。
各々が強そうなポケモンを繰り出し、自分達はお馴染みの鉄パイプやらナイフを持つ。
「げ、武器持ちかよ!」
ブラックが焦りの表情で叫ぶ。
「奴らのいつものバトルスタイルだ!
ホワイト、ブラックを頼む!」
「分かったわ!」
「バトル関係ねぇぇぇ!」
ブラックがまともにツッコんだが、黒星団は構わずにこちらへ向かってきた。
突如、切って落とされた戦いの火蓋にも関わらず、サブマスの二人は冷静に対処しようとする。
「ポケモン達は僕達に任せて!
おいで、ドリュウズ!」
クダリさんがボールを投げ、鋭い爪を持ったポケモンを繰り出した。
茶色のボディに鋼のような爪、鋭い目は好戦的な光を湛えている。
「では、私も行きます。
シャンデラ、出発進行!」
ドリュウズに続くように飛び出してきたのは、ネクの手持ちにもいるシャンデラ。
体に灯っている炎を激しく燃え上がらせ、戦意を示している。
向こうがポケモンを相手に戦いを始めた頃、ボクとジャルルは互いに頷き合い、傍で戦うホワイトに向かって指示を出した。
「ボクがノワール達を引き付けている間に、ブラックとホワイトは列車内にいるポケモン達を助けるんだ!」
「何言ってるのよ、フォリア!」
武器を持つ黒服連中を次々と薙ぎ倒しながら、ホワイトが「冗談でしょ」という風に言う。
「無茶言うな! お前一人でどうこうできる相手じゃないだろ!」
「でも、早く助けに行かないと―――!」
「――――なら、俺も加勢する!」
突如、上空から聞こえた声。
全員が何事かと上を見上げた時、
「サイコキネシス!」
と言う鋭い声と、ボク達の周りにいた黒星団の下っ端達が動かなくなったのは、ほぼ同時だった。
その聞き覚えのある声と姿に、ボクは歓声にも似た声で名前を呼ぶ。
「ネク!」