Heroic Legend -間章の灰-

□第61話 VS 黒星団
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外の世界は夜の闇に包まれ、車輪の動く音しか聞こえない。

前方には無念…というように電源の残量が無くなってしまった幽霊列車が止まっている。

その後ろにつくように、ボク達の乗る車両も止まった。


そして、辺りには本来の静寂が訪れ、今は鳥ポケモンの鳴き声すら聞こえない。


「皆様、準備はよろしいですか?」

ボールを構え、ノボリさんがボク達を振り返る。

「この車両に乗った時から、覚悟は決まってますよ」

ブラックが言うと、ホワイトもメブキジカの入ったボールを持ちながら頷く。

「ポケモン達を助けなきゃ、ですよ!」

ボクもジャルルと共に頷くと、クダリさんがシビルドンを戻しながら言った。

「皆、準備OKのようだね、ノボリ兄さん」

「えぇ。では、行きましょう。
くれぐれもご無理をなさらずに、私達から離れないで下さい」

ノボリさんの言葉に全員が強く頷き、一斉に幽霊列車へと走り出す。


その列車は動く気配も無く、最早ただの黒い鉄の塊だ。

そこから降りてくる、数人の人影。
それらと対峙するように、ボク達の足も止まった。



「やるじゃないか、アンタ達。
ここまでアタシ達に楯突くなんてさ」

夜の静寂を破るように、人影の一人がそう言い放つ。

月明かりに照らされその姿が現れると、ジャルルが出てきて威嚇の声を上げ始めた。

【ノワール…!】

「おやおや、アンタのポケモンは血の気が多いねぇ」

黒髪ツインテールで露出度の高い黒服を着た、黒星団リーダーである女性のノワールが呑気に言う。

「ボクなんて威嚇どころか、お前をボコボコにしてやりたい気持ちで一杯なんだけど」

「へぇ、そう?」

余裕な笑みを浮かべるノワールの横で、シルヴィンが少し驚いた表情でボクを見ていた。

「アンタ…あんなに蹴ったのに、まだ動けんの?
つか、肋(あばら)とか"普通"に折れている筈なんだけど…」

「さっきまで痛かったけど、もうくっ付いた。
ボクの身体は"普通"じゃないからね」

「さっすが…イヴェールが『化け物』呼ばわりするだけのガキね。
今更だけど、アンタが"普通の人間じゃない"って事が、何となく分かったわ」

「そりゃ、素敵な名前をどうも」

二人の言葉を皮肉で返し、話の本題に入らせる。


「さぁ、奪ったポケモンを返してもらうよ。
お前らなんかに、絶対渡すものか…!」

「そうよ! 絶対取り返してみせるわ!」
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